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欧米クラシック・シリーズ​​第36弾は、サイレント時代からトーキー後の色彩超大作まで、ハリウッド黄金期を支えた監督の一人、キング・ヴィダーの作品を11本セレクトしてお届けします。

その洗練された話術は特にメロドラマで冴えをみせ、今も尚、多くの映画ファンの心を捉えています。

この機会にぜひ、巨匠の足跡を辿ってみてください。

例によって複数本割もございますので、ぜひご利用下さい!!

キング・ヴィダー(1894年2月8日 - 1982年11月1日)

テキサス州出身のハンガリー系アメリカ人。

15歳の時に見た『月世界旅行』で、映画の魅力にとりつかれ、短編映画を撮り始める。

その後、ハリウッドで『ビッグ・パレード』、『群衆』とサイレント期に多くの傑作を発表。

トーキー後もメロドラマを中心に映画を作る。

5回アカデミー監督賞にノミネート、1978年にアカデミー名誉賞を受賞。

1982年ヴェネツィア国際映画祭栄誉金獅子賞受賞。

同年カリフォルニア州で死去。

上映期間 9月5日(木)~13日(金)

上映作品(全作品DVD上映)

『ビリー・ザ・キッド』Billy the Kid(1930年/米/モノクロ/95分)

監督:キング・ヴィダー

原作:ウォルター・ノーブル・バーンズ

脚本:ワンダ・タショク ローレンス・スターリングス

撮影:ゴードン・アヴィル

出演:ジョン・マック・ブラウンウォーレス・ビアリー ケイ・ジョンソン カール・デイン ウィンダム・スタンディング ラッセル・シンプソン ブランシュ・フリデリシ

無法者のなかの無法者、数多い西部劇のヒーローの中でも、まずベスト・テンの上位にランクされ、何度も映画化されたキッド映画のなかでも、トーキー時代になって最初につくられ、キッド映画の決定版たるにふさわしい名作と言われるのが本作。ビリー・ザ・キッド役は「妻呼ぶ怒涛」「恋多き女」のジョン・マック・ブラウンがつとめた。「ビッグ・ハウス」「ロマンスの河」のウォーレス・ビアリー、「略奪者」「マダム・サタン」のケイ・ジョンソンなどが助演。

 上映日:9月9日(月)17時

『街の風景』Street Scene(1931年/米/モノクロ/78分)

監督:キング・ヴィダー

原作・脚本:エルマー・ライス

撮影:グレッグ・トーランド ジョージ・バーンズ

音楽:アルフレッド・ニューマン

出演:シルヴィア・シドニー ウィリアム・コリアー・Jr ラッセル・ホプトン ルイ・ナトー ボーラ・ボンディ T・H・マニング アデール・ワトソン

★同名の有名な舞台劇を原作に忠実に映画化しており、多くの舞台人がキャストに名を連ねている、ブルックリンの移民労働者が住む地域に古びたアパートがある。夏の暑さを逃れようと住民たちが道路に出て涼んでいるのだが、それそれの家庭が抱える様々な事情が、人間関係を複雑にして、遂には殺人事件にまで発展するのだった。

 上映日:9月5日(木)18時30分~、9月11日(水)19時~

『南海の劫火』Bird of Paradise(1932年/米/モノクロ/80分)

監督:キング・ヴィダー

脚本:ウェルズ・ルート レオナルド・プラスキンズ ワンダ・タショク

撮影:クライド・デ・ヴィンナ エドワード・クロンジャガー ルシアン・アンドリオ

音楽:マックス・スタイナー

出演:ドロレス・デル・リオ ジョエル・マクリー ジョン・ハリデイ スキーツ・ギャラガー ロン・チェイニー・Jr

★南の島を巡っていた豪華なヨットが、名も知らぬ小さな島に上陸する。やがて乗組員のひとりと島の娘が恋に落ち、2人は孤島に渡って生活を始めるのだが・・・。火山が爆発したことで、古いしきたりに従って翻弄されたり、ナイーブな愛の交歓シーンなど、おとぎ話のような雰囲気が全体に溢れているエキゾチックな海洋メロドラマ。

 上映日:9月6日(金)18時30分~、9月12日(木)19時~

『シナラ』Cynara(1932年/米/モノクロ/75分)

監督:キング・ヴィダー

製作:サミュエル・ゴールドウィン

原作:ロバート・ゴーア・ブラウン

脚本:フランセス・マリオン リン・スターリング

撮影:レイ・ジューン

音楽:アルフレッド・ニューマン

出演:ロナルド・コールマン ケイ・フランシス ヘンリー・スティーヴンソン フィリス・バリー

★ロバート・G・ブラウンの小説「不完全な恋人」に基づく舞台劇の映画化作品。真面目すぎた夫のよろめきを描く、女性には現在でも大変興味深いテーマの小品。主演は往年の二枚目、コールマンである。ナポリで結婚生活最後の日々を送る夫婦の回想から物語は始まる。場所は転じてロンドン。結婚記念日の前日だというのに、妹の色恋ざたに決着をつけに彼女を同行してベニスへ行こうという妻クレメンシー(フランシス)に、ほとんど愚痴も言わぬ弁護士ジムは、彼女を心から愛していた。その生真面目さが妻の贅沢な悩み。彼女の長い留守にも火遊びひとつしようとしないジムに放蕩者の友人トリングは、無理やり、レストランで隣り合わせた二人連れの一方の娘を押しつける。服飾店でモデルをするという彼女、ドリスの快活さに惹かれたジムだが、紙に書いて渡された連絡先をちぎって棄てる律儀者。そこで一計を案じたトリングは水泳大会にドリスを出場させ、その審査員をジムに引き受けさせ、再び引き合わせた。積極的な彼女に押し切られる形で関係を持ったジムだが、それは妻が戻るまでのいっときの約束だった。しかし、クレメンシーが帰って、若いドリスの心はなお燃えた。が、拒むジム。そこにドリス自殺の知らせが舞い込み、彼は彼女の友人に訴えられる。本当は彼が初めてではなかったドリスだが、彼女の名誉を守って口を閉ざしたジムは法廷での心証を著しく害し、本国での弁護士資格を剥奪され、南アフリカへ赴こうというのだが……。

 最後、妻が夫を理解するプロセスがあまりに短絡的すぎるが、フランシス、コールマン共に好演で、味わい深い大人のメロドラマとして上出来の部類。ドリスに扮するバリーも可憐で厭味なくいい感じ。

 上映日:9月5日(木)15時~、9月13日(金)19時~

『結婚の夜』The Wedding Night(1935年/米/モノクロ/86分)

監督:キング・ヴィダー

製作:サミュエル・ゴールドウィン

脚本:エディス・フィッツジェラルド

撮影:グレッグ・トーランド

音楽:アルフレッド・ニューマン

出演:ゲイリー・クーパー アンナ・ステン ウォルター・ブレナン

★スランプに陥った作家が妻と共に田舎にこもるが、都会生活に未練のある妻はNYへと引き返してしまう。夫は隣家の娘に次第に心惹かれ、作品のインスピレーションを得て行く。彼に請われるまま、話をしに訪ねて行く娘を、父親は政略結婚の婚約者の手前、快く思わず、二人の仲を引き裂こうとする。そこへ作家の妻も戻って来て……。製作者ゴールドウィンが大いに売り出したロシア出身のA・ステンが純朴なポーランド移民の娘を好演、「女優ナナ」「復活」と失敗作が続いての成果だったが、以降のキャリアを救う事にはならず、彼女はやがて画業にその才を発揮、映画はたまに助演する程度になった。積雪きらめく中、まさに“夢”の様なラストシーンが忘れ難い。ヴィダーの格調高い演出は健在で単なるメロドラマにしていない。

上映日:9月6日(金)15時~、9月11日(水)17時~

 

『テキサス決死隊』The Texas Rangers(1936年/米/モノクロ/96分)

監督・製作:キング・ヴィダー

原作:キング・ヴィダー エリザベス・ヒル

脚本:ルイ・スティーヴンス

撮影:エディ・クロンジェイガー

出演:フレッド・マクマレイ ジャック・オーキー ジーン・パーカー ロイド・ノーラン エドワード・エリス

★テキサス州100年祭を記念して作られた西部劇。テキサス決死隊に入隊した2人の男がインディアン討伐のために活動する。インディアンを徹底して悪者として描いているため、現在では製作不可能な作品と言えよう。アカデミー賞録音賞でノミネートされた。

 上映日:9月5日(木)13時~、9月11日(水)15時~

『城砦』The Citadel (1938年/英/モノクロ/110分)

監督:キング・ヴィダー

原作:A・J・クローニン

脚本:アイアン・ダリンプル フランク・ウィード エリザベス・ヒル

撮影:ハリー・ストラドリング

音楽:ルイス・レヴィ

出演:ロバート・ドーナット ロザリンド・ラッセル レックス・ハリソン ラルフ・リチャードソン エムリン・ウィリアムズ ペネロープ・ダドリー=ウォード フランシス・L・サリヴァン

★スコットランド出身のアンドリュー・マンソンは理想主義に燃えた医師で患者のために誠心誠意尽くそうと常日頃から考え努力してるがなかなか報われない。彼が信頼できるのは妻クリスティンと医者仲間のデニーだけだ。ロンドンでの貧しい生活が続いていたそんなある日、セレブ医師となった旧友ローフォードに会い、その紹介で上流社会に出入りするうちに堕落の道を覚える。見えない城砦を乗り越えようとしてひたすら努力していた理想家マンソンが金銭欲に取り付かれて自分を見失うが、悲劇的な医療事故をきっかけに再び立ち直っていく姿を描いた、ヴィダー渾身の社会派ドラマ。医療界に巣食う腐敗を徹底的に暴いたヴィダーの鮮烈な演出で本作はニューヨーク映画批評家教会作品賞を受賞した他、アカデミー作品賞、監督賞、主演男優賞他にノミネートされるなど高く評価された。

 上映日:9月5日(木)16時30分~、9月13日(金)15時~

『同志X』 comrade X (1940年/米/モノクロ/104分)

監督:キング・ヴィダー

製作:ゴットフリード・ラインハルト キング・ヴィダー

原案:ウォルター・ライシュ

脚本:ベン・ヘクト チャールズ・レデラー

撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ

編集:ハロルド・F・クレス

音楽:ブロニスラウ・ケイパー

出演:クラーク・ゲイブル ヘディ・ラマール オスカー・ホモルカ フェリックス・ブレサート イヴ・アーデン シグ・ルーマン ウラジミール・ソコロフ エドガー・バリア

★第二次大戦前のソビエト、モスクワ。アメリカ人記者マッキンリー・マック・トンプソンは密かに”同志X”というペンネームで共産主義社会にはびこる様々な悪と腐敗をレポートしていた。彼は、逞しくうぬぼれの強い男だったがその正体は使用人のワーニャに見破られていた。ワーニャはマックの正体をバラさない見返りに、路面電車の車掌をしている自分の娘セオドアを国外へ亡命させることを約束させる。彼女はボッティチェリの絵の天使のように美しいが、共産主義思想に凝り固まっている。彼女は国外に出て共産主義の素晴らしさを伝えようと父の申し出に応じマックとの偽装結婚を承諾するのだが、マックの正体を秘密警察は既に見破っていた。『ブーム・タウン』に続くゲイブル=ラマールの共演作で身分を隠して政略結婚し、危機一髪の難を逃れながら亡命するスリル満点のアクション・コメディでフィナーレを迎えるまで飽きさせない。

 上映日:9月6日(金)16時30分~、9月12日(木)17時~

『摩天楼』The Fountainhead(1949年/米/モノクロ/114分)

監督:キング・ヴィダー

原作・脚本:アイン・ランド

撮影:ロバート・バークス

音楽:マックス・スタイナー

出演:ゲイリー・クーパー パトリシア・ニール レイモンド・マッセイ ケント・スミス ロバート・ダグラス ヘンリー・ハル レイ・コリンズ ジェローム・コーワン

★妥協を拒んで失職した建築家ハワードは石切工に身を落とす。ハワードを巡る世渡り上手な大学の同級生、彼を支持したことで自らの非を恥じ自殺する新聞社の社長、その娘で傲慢な婦人記者等、個性的な人物がからみ合い深みのあるヒューマニズム映画に仕上がっている。

 上映日:9月9日(月)15時~

『牧場の闇』 lightning strikes twice(1951年/米/モノクロ/91分)

監督:キング・ヴィダー

原作:マーガレット・エチャード

脚本:レノア・コフィ

撮影:シド・ヒコックス

音楽:マックス・スタイナー

出演:リチャード・トッド ルース・ローマン マーセデス・マッケンブリッジ ザカリー・スコット ダリル・ヒックマン フランク・コンロイ キャスリン・ギヴニー リス・ウィリアムズ

★妻殺しの容疑で有罪となりテキサスの刑務所の死刑囚棟に収容されているリチャード・トレベリアンは,再審で最後まで粘っていた陪審員のひとりが合意したことで無罪になる。女優のシェリー・カーンズはテキサスの観光牧場に向かっていた。道中牧場主のJ・Dとマイラ・ノーランと知り合い、二人の車を借りることになる。嵐の中、道に迷っているところで偶然トレベリアンと出会う。彼はJ・Dとマイラのことを知っていた。シェリーはライザ・ストリンガーが経営する観光牧場に宿泊することになる。弟と牧場を切り盛りしているライザは、自分こそがトレベリアンを釈放させた陪審員だと語り、今では隣人や友人からも避けられていると話す。殺害されたトレベリアンの元妻ロレインはじかつて多くの人から嫌われていたことを知る。ロレインはJ・Dと不倫をしていたと噂されていたからだ。複雑に絡み合った人間関係の中から次第に輪郭をあらわしてくる物語展開。全編にフイルム・ノワールの雰囲気を濃厚に漂わせながら完成させたミステリー・ロマンスの佳作。

 上映日:9月9日(月)19時~、9月13日(金)17時~

『東は東』Japanese War Bride(1951年/米/モノクロ/91分)

監督:キング・ヴィダー

原作:アンソン・ボンド

脚本:キャサリン・ターニー

撮影:ライオネル・リンドン

音楽:エミール・ニューマン アーサー・ラング

出演:ドン・テイラー 山口淑子 キャメロン・ミッチェル マリー・ウィンザー フィリップ・アーン

★朝鮮戦争で負傷した米軍中尉と日本人看護婦が恋に落ちて結婚する。2人は夫の故郷カリフォルニアで暮らし始めるのだが、周囲の差別や偏見に苦しむという戦争花嫁の悲劇を描いている。日本を好意的に表現しているが、日本人女性の仕草や心の動きに関してはアメリカ人の想像する姿に沿っている。

上映日:9月6日(金)13時~、9月12日(木)15時~

入場料:1300円均一(当日券のみ)

※2本連続鑑賞2400円 3本連続鑑賞3500円 

欧米クラシック・シリーズ㊱

キング・ヴィダー 監督特集

 

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