欧米クラシック・シリーズ第47弾は、1930年代から50年代にかけて、B級映画職人監督としてその名を馳せたジョセフ・H・ルイス監督の代表作を6本セレクトしてお届けします。

ホラー、ノワール、戦争、実録とジャンルを問わないその職人気質は今こそ再評価に値します。

例によって複数本割もございますので、ぜひご利用下さい！！

ジョセフ・H・ルイス　Joseph H. Lewis（1900年4月6日 - 2000年8月30日

アメリカ／ニューヨーク州ニューヨーク市出身。

1937年、『Courage of the West』で監督デビュー。

1940年代にはSF映画『The Mad Doctor of Market Street』やミュージカル映画『The Minstrel Man』などを手がける。

1945年に『私の名前はジュリア・ロス』で成功を収めたあとは、B級映画の巨匠として『拳銃魔』や『ビッグ・コンボ』などを発表。

1960年代にはいるとテレビに活躍の場を移す。

1997年、ロサンゼルス映画批評家協会より生涯功労賞を授与される。

上映期間　7月27日（月）～31日（金）

上映作品（全作品アメリカ映画・DVD上映）

『私の名前はジュリア・ロス』My Name is Julia Ross（1945年／B&W／65分）

監督：ジョセフ・Ｈ・ルイス

製作：ウォーレス・マクドナルド

原作：アントニー・ギルバート

脚本：ミュリエル・ロイ・ボルトン

撮影：バーネット・ガフィ

出演：ニナ・フォック　メイ・ウィッティ　ジョージ・マクレディ　ローランド・ヴァーノ　ドリス・ロイド

★身寄りのない若い女性ジュリアがある男の秘書として雇われるが、睡眠薬を飲まされ気がつくと断崖に立つ館に閉じ込められていた。雇い主とその母親は、彼女を男の妻である別の女性に仕立て上げようとしていた。恐怖と不安から次第ノイローゼ気味になっていくジュリア。何のために誘拐されたのか。彼らの陰謀は何か。次第に真相が明らかになっていく中で，ジュリアは恐怖の館から脱出を試みる。生涯一貫してB級低予算映画を作り続け今に名を残し、近年ますます高い評価を受けているルイスが、当時のコロンビア映画に認められて18日間の撮影で作り上げた、ヒッチコック的な巻き込まれ型のノワール・サスペンス出世作。。

上映日：7月27日（月）＆30日（木）17時30分

『秘密調査員』The Undercover Man（1949年／B&W／85分）

監督：ジョセフ・Ｈ・ルイス

製作：ロバート・ロッセン

原作：フランク・Ｊ・ウィルソン

脚本：ジャック・ルービン　シドニー・ボーム

撮影：バーネット・ガフィ

音楽：ジョージ・ダニング

出演：グレン・フォード　ニナ・フォック　ジェームズ・ホイットモア　バリー・ケリー　デヴィッド・ウルフフランク・トゥエッデル　ハワード・セント・ジョン　ジョン・Ｆ・ハミルトン　レオ・ペン

★ビッグ・フェローと呼ばれるギャング団のボスの脱税行為を糸口に、ボスの逮捕に奔走する財務省捜査官の執念と暴力を全編セミ・ドキュメンタリー・タッチで描いた傑作フイルム・ノワール。’31年脱税容疑で逮捕されたアル・カポネを念頭において製作された。製作は『オール・ザ・キングスメン』『ハスラー』などの監督ロバート・ロッセン。フランク・ウィルソンの原作をラングの『復讐は俺に任せろ』などのシドニー・ベームが脚本を担当。特筆されるのは『地上より永遠に』『俺たちに明日はない』などの名カメラマン、バーネット・ガフィーの緻密で大胆な撮影。ルイス最後のコロンビア映画となった記念碑的作品。。

上映日：7月27日（月）＆30日（木）14時

『地獄への退却』Retreat，Hell!（1952年／B&W／95分）

監督：ジョセフ・Ｈ・ルイス

製作・原作：ミルトン・スパーリング

脚本：ミルトン・スパーリング　テッド・シャードマン

撮影：ウォレン・リンチ

音楽：ウィリアム・ラヴァ

出演：リチャード・カールソン　フランク・ラヴジョイ　ラスティ・タンブリン　アニタ・ルイーズ　ネッド・ヤング

★第二次大戦の戦士で海兵隊の予備役将校カールソンは、長らく実戦から遠ざかっていた。だが、朝鮮への緊急召集を受け、新米の海兵隊員タンブリンらとあてがわれた部隊を内地で特訓して、彼ら共に朝鮮戦争の前線に繰り出して行く。激しい戦闘を切り抜けながら、38度線を超えた彼らを待ち構えていたのは、人海戦術を使いながら必死に抵抗する中共軍だった。戦場での兵士たちの張りつめた緊迫感と恐怖が画面を通してリアルに伝わってくるルイス唯一の戦争映画。

上映日：7月27日（月）＆30日（木）15時30分

『パスポートのない女』A Lady without Passport (1950年／B&W／74分)

監督：ジョセフ・Ｈ・ルイス

製作：サミュエル・マークス

原案：ローレンス・テイラー

脚本：ハワード・ディムスデイル　シリル・ヒューム

撮影：ポール・Ｃ・ヴォーゲル

音楽：デヴィッド・ラクシン

出演：ヘディ・ラマール　ジョン・ホディアク　ジェームズ・クレイグ　ジョージ・マクレディ　スティーヴン・ジェレイ　ネドリック・ヤング　スティーヴン・ヒル　ロバート・オステルロッホ　トレヴァー・バーデット

★車に轢かれた男が発見され、所持品からキューバからの不法移民と判明する。捜査員コルチャックは実態を解明しようとキューバに向い、現地でアメリカへの密航を斡旋する組織に潜入捜査する。パリノフという男がが仕切っているこの斡旋業を捜査する内に、コルチャックは難民の一人マリアンヌと知り合い恋に落ちる。パリノフはコルチャックの真の目的を知り、彼は殺そうとするが失敗に終わる。するとパリノフは彼を自分の商売に利用しようと決める。コルチャックは乗客の一人としてマリアンヌと共にアメリカに飛ぶ。だがその飛行機はアメリカ政府によって追跡されていた。密航機はフロリダの霧煙る湿地に着陸するのだが。前年公開されたMGM大作史劇『サムソンとデリラ』で一躍大女優に躍進したラマールがマリアンヌに扮してその美貌を披露している。

上映日：7月29日（水）＆31日（金）14時

『ベラ・ルゴシの幽霊の館』Invisible Ghost (1941年/B&W/64分)

監督:ジョセフ・H・ルイス　出演:ベラ・ルゴシ、ポリー・アン・ヤング

チャールス・ケスラーは豪華な屋敷の居間で一人夕食のテーブルにつく。そして誰もいないテーブルの対面に向かって話し始める。愛妻が車で事故死したのを受け入れられず、彼女との結婚記念日にはいるはずのない妻と共に食事をとるケスラー。執事のエヴァンスはケスラーの状況を理解しようとしてるが、娘のヴァージニアは思い悩んでいる。彼女は恋人のラルフに、母は駆け落ちした男と逃げる途中に事故死したと打ち明けるが、真剣に取り合ってもらえない。一方、庭師のジュールズは冷蔵庫から食料を盗み出しある建物の地下に運び込んで行く。そこには一人の美女がベッドに横たわっている。その女は亡くなったはずのケスラー夫人だった。『私の名前はジュリア・ロス』『拳銃魔』などで知れれるB級映画の帝王ジョゼフ・H・ルイスがコロンビア映画からモノグラムに移籍した直後に演出した怪奇スター、ルゴシ主演のホラー。

上映日：7月29日（水）＆31日（金）17時30分

『拳銃魔』Gun Crazy（1949年／B&W／90分）

監督：ジョセフ・Ｈ・ルイス

製作：フランク・キング　モーリス・キング

原作：マッキンレー・カンター

脚本：マッキンレー・カンター　ミラード・カウフマン

撮影：ラッセル・ハーラン

音楽：ヴィクター・ヤング

出演：ジョン・ドール　ペギー・カミンズ　ベリー・クルーガー　モリス・カルノフスキー　アナベル・ショウハリー・ルイス　ネドリック・ヤング　ラスティ・タンブリン

★殺生が嫌いなくせに銃器に異常な愛着を抱く男が、見世物で射撃の腕を披露したことから一座のスターと恋に落ちる。彼が女にそそのかされて強盗を重ね、身を滅ぼすまで。実話を基にした短編小説の映画化で、着想のユニークさが光るギャング映画の佳作。

上映日：7月29日（水）＆31日（金）15時30分