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欧米クラシック・シリーズ​​第39弾は、映画黎明期から60年代まで、約半世紀に渡ってフランス映画の巨匠として君臨し続けた、ジュリアン・デュヴィヴエ監督の作品を13本セレクトしてお届けします。

フランスのみならず、ハリウッドにも招かれたその演出手腕は、特に日本で高い評価を得ており、現在も根強いファンを持つ名監督の一人です。

今回はトーキー初期のヒット作、名作から、アメリカで撮ったオールスター映画『運命の饗宴』、イタリアとの合作コメディ『ドン・カミロ』シリーズなどマルチプレイヤーであったデュヴィヴィエならではの作品を揃えました。

この機会にぜひ、巨匠の足跡を辿ってみてください。

例によって複数本割もございますので、ぜひご利用下さい!!

ジュリアン・デュヴィヴィエ  Julien Duvivier(1896/10/031-1967/10/30 )

フランス/ノール出身。俳優として舞台に立ったのをきっかけに、パリのオデオン座で舞台監督となる。19年に映画処女作“Heceldama”を撮り、以後しばらくサイレント映画を監督し続ける。30年代に入ってからトーキー映画を手掛けはじめ、フランスの四代巨匠の一人と評される名監督となる。第二次大戦中は戦火を逃れてハリウッドで働き、終戦とともにフランスへ戻った。代表作に、「モンパルナスの夜」、「舞踏会の手帖」、「巴里の空の下セーヌは流れる」、「殺人狂想曲」、「悪魔のようなあなた」などがある。67年、パリで死亡。

上映期間 11月24日(日)~12月6日(金)

上映作品(全作品モノクロ・DVD上映)

『にんじん』poil de carotte (1932/仏/91分)

監督・脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ

原作:ジュール・ルナール

撮影:アルマン・ティラール ティラール・モンニオ

音楽:アレクサンドル・タシスマン

出演:ロベール・リナン アリ・ボール カトリーヌ・フォントネ コレット・セガル

★”にんじん”は神経質でいじけていたので、両親や兄姉たちから嫌われていた。そんな彼の気持ちをわかってくれるのは釣り好きのおじさんと、可愛い少女マチルドだけだったが、彼女との仲も引き裂かれてしまう。ジュール・レナールの小説の映画化で、26年に続くデュヴィヴィエの2度目の映画化。

 上映日:11月27日(水)13時~、12月4日(水)13時~

『モンパルナスの夜』la tete d’un homme (1933/仏/90分)

監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ

製作:シャルル・ドゥラク マルセル・ヴァンダル

原作:ジョルジュ・シムノン

脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ ピエール・カルマン ルイ・デラプリー

出演:アリ・ボール ガストン・ジャケ ダミア ジナ・マネス リーヌ・ノロ ルイ・ゴーシェ

★パリの場末の酒場。借金を抱えて苦しんでいるフェリエールは酒に酔って「誰か叔母のアンデルソン夫人を殺してくれたら10万フラン出すんだが…」と呟いた。そこへ「承知した」と書かれた紙片が給仕から彼に渡される。フェリエールは驚きながらもその誘いに応じる。ある夜、アンデルソン夫人の家に忍び込んだユルタンは、寝室で胸を刺されて死んでいる夫人の死体を発見して驚く。その時、奥の扉から安全な強盗だと言ってユルタンを誘ったラデクが現れる。二人ともチェコスロヴァキアの留学生だった。ユルタンは田舎に逃走するが事件は発覚し、メグレ警部が捜査に乗り出す。現場に残された証拠からユルタンは逮捕されるが、警部は背後に真犯人が隠れていると睨む。映画やTVシリーズで数多く作られたシムノン原作のメグレ刑事ものだが、本作はジャン・ルノワールの『十字路の男』(1932)に続き製作された秀作の誉れ高いノワール。

 上映日:11月28日(木)19時~、12月2日(月)19時~

『白き処女地』maria chapdelaine (1934/仏/120分)

監督・脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ

原作:ルイ・エモン

撮影:ジュール・クリュージェ

音楽:ジャン・ウィエネル ロジェ・デゾルミエール

出演:マドレーヌ・ルノー ジャン・ギャバン ジャン=ピエール・オーモン A・リニョー

★ルイ・エモンの同名小説の映画化作品。年頃に成長した村の娘が、猟師の男と恋に落ちるが、彼は冬の山で遭難し、やがて都会の男に求婚されるのだが・・・・。カナダのケベック地方に住むフランス系住民の、古い伝統と信仰に生きる開拓者生活が、過酷な自然と慎ましく生きる村人の姿と共に見事に描かれている。34年度フランス・シネマ大賞受賞。

 上映日:11月28日(木)14時45分~、12月2日(月)14時45分~

『地の果てを行く』la bandera (1935/仏/102分)

監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ

原作:ピエール・マッコルラン

脚本:シャルル・スパーク ジュリアン・デュヴィヴィエ

撮影:ジュール・クリュージェ

音楽:ジャン・ウィエネル

出演:ジャン・ギャバン レイモン・エイムス ロベール・ル・ヴィギャン アナベラ ヴィヴィアーヌ・ロマンス

★パリの裏町で殺人を犯した男がモロッコの外人部隊に逃れる。現地の娘と結婚するのだが、彼には絶えず仲間を装う賞金目当ての男がつきまとっていた。苛酷な環境の中で繰り広げられるぎりぎりの人間関係が、鮮烈な印象を引き出している。アナベラの好演も見所。

 上映日:11月28日(木)17時~、12月2日(月)17時~

『巨人ゴーレム』le golem (1935/捷=仏/95分)

監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ

脚本:アンドレ・ポール・アントワーヌ ジュリアン・デュヴィヴィエ

製作フランク・カスレル 他

音楽ヨーゼフ・クモク

撮影ヤン・スタルリック ヴァスラウ・ヴィック

出演:アリ・ボール ロジェ・カール シャルル・ドラ ガストン・ヤッケ ジャニー・オルト レイモン・エイムス

★ジュリアン・デュヴィヴィエが、「地の果てを行く」に次いで、「我等の仲間」の前に、プラーグのABフィルムで製作した映画で、プラーグの古い伝説とヴォーコヴェク及びウェリクの物語とに基づいている。脚本は「巴里の唄」のシナリオに協力したアンドレ・ポール・アントワーヌが、デュヴィヴィエと共作した。主役は「楽聖ベートーヴェン」「罪と罰(1935)」のアリ・ボールで、「巴里-伯林」のジェルメーヌ・オーセエ、「幻影」のロジェ・カール、その他、「我等の仲間」のシャルル・ドラ、同じくレイモン・エーモス、「隊長ブーリバ」のロジェ・デュシェーヌ、「モンパルナスの夜」のガストン・ジャッケ、「楽聖ベートーヴェン」のジャニー・オルト、巨人俳優フェルディナンド・ハルト、等が助演している。キャメラはチェッコの古参のヴァクラフ・ヴィッヒと「ながれ」「春の調べ」のヤン・スタルリックとが協力して担任。

日本では『大魔神』の基となった作品としても知られる。

上映日:11月24日(日)12時30分~、11月27日(水)19時~、12月1日(日)12時30分~、12月6日(金)19時~

『幻の馬車』La charrette fantome (1939/仏/90分)

監督・脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ

原作:セルマ・ラーゲルレーヴ

撮影:ジュール・クリュージェ

音楽:ジャック・イベール

出演:ルイ・ジューヴェ ピエール・フレネー アンリ・ナッシュ ミシュリーヌ・フランセ マリー・ベル ミラ・パレリ ヴァランティーヌ・テシエ

★フランスのブルターニュ地方には、毎年、除夜の鐘が鳴るときに死んだ者はその後1年間、死神の馬車の御者となり死人の所へ訪れて、その迷える魂を冥府へ連れて行くという伝説が語り伝えられている。クリスマスの日、救世軍の接待に集まった浮浪者たちの中で、一人の老婆が馬車の軋る音が聞こえると叫びだした。これを聞きとがめたのは”学者”とあだ名されるジョルジュだったが、ダヴィッドとギュスターブは老婆の話を一笑に付した。だが、死神伝説がジョルジュに音もなく忍び寄っていた。1909年、女性で初めてノーベル文学賞を受賞したスウェーデンの作家ラゲルレフの幻想小説『死神の御者』をデュヴィヴィエがブルターニュ地方に移して映画化した作品。1921年にはヴィクトル・シェーストレムが監督・出演したサイレント映画の名作『霊魂の不滅』のリメイクでもある。

 上映日:11月25日(月)19時~、12月4日(水)19時~

『リディアと四人の恋人』lydia (1941/米/110分)

監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ

脚本:ベン・ヘクト

撮影:リー・ガームス

音楽:ミクロス・ローザ

出演:マール・オベロン ジョセフ・コットン ハンス・ヤーライ ジョージ・リーヴス アラン・マーシャル

★孤児院の経営でその業績を称えられた老女がかつての恋人に呼び出され、彼女を愛した男たち3人と会う。彼らと共に過去を回想するというロマンチックなメロドラマ。彼女が最も愛した4人目の男が最後に姿を現すが、意外な結末となる。戦禍を逃れてアメリカに渡ったデュヴィヴィエ監督のハリウッド第一作。

 上映日:11月29日(金)17時~、12月5日(木)17時~

『運命の饗宴』tales of manhattan (1942/米/118分)

監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ

原作:ベン・ヘクト フェレンツ・モルナール

脚本:ドナルド・オグデン・スチュワート サミュエル・ホッフェンスタイン アラン・キャンベル ラディスラス・フォドール

撮影:ジョセフ・ウォーカー

音楽:エドワード・ポール

出演:シャルル・ボワイエ リタ・ヘイワース ヘンリー・フォンダ ジンジャー・ロジャース チャールズ・ロートン エドワード・G・ロビンソン

★ニューヨークで仕立てられた夜会服が奇妙な因縁から次々に人の手に渡る。そのたびに持ち主に投げかけられる様々な運命を6つのエピソードにして描いたオムニバス映画。言わば夜会服が主役だが、豪華キャストが組まれ、それぞれの俳優がその個性に合った役柄をこなしているのが見どころか。

 上映日:11月25日(月)14時45分~、12月4日(水)14時45分~

『肉体と幻想』flesh and fantasy (1943/米/93分)

監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ

製作:ジュリアン・デュヴィヴィエ シャルル・ボワイエ

原作:オスカー・ワイルド ラズロ・ヴァドナイ エリス・セント・ジョセフ

脚本:アーネスト・パスカル サミュエル・ホッフェンスタイン エリス・セント・ジョセフ

撮影:ポール・エヴァンス スタンリー・コルテス

音楽:チャールズ・プレヴィン

出演:シャルル・ボワイエ バーバラ・スタンウィック エドワード・G・ロビンソン ロバート・ベンチリー ベティ・フィールド ロバート・カミングス

★夢や幻想の心理的現象が肉体に及ぼす影響をテーマに描いた3つの挿話。第一話は仮面をつけて踊っていた女が、思いがけない姿に変身するというストーリー。殺人を犯すと予言された男が実際に実行してしまう第二話。第三話では男が夢の中に出た美女と実際に恋をする。

 上映日:11月29日(金)19時~、12月5日(木)19時~

『パニック』panique (1946/仏/91分)

監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ

原作:ジョルジュ・シムノン

脚本:シャルル・スパーク ジュリアン・デュヴィヴィエ

撮影:ニコラ・エイエ

音楽:ジャン・ウィエネル

出演:ヴィヴィアーヌ・ロマンス ミシェル・シモン マックス・ダルバン エミール・ドラン ギィ・ファヴィエール シャルル・ドラ

★シムノン原作のメグレ警視を最初に映画化した作品がデュヴィヴィエの『モンパルナスの夜』(’32)である。亡命先のハリウッドから帰還したデュヴィヴィエの戦後第一作が本作であり、彼が14年ぶりにシムノン原作に取り組んだ本格ノワールである。映画化にあたってデュヴィヴィエは原作の大部分を変えている。孤独な主人公イール氏についてはその淡々とした日常生活の描写や、ボーリングの名手だった等という人物像の”ふくらみ”を削ぎ落としている。そして、やってもいない殺人の疑惑を晴らせぬまま、追いつめられていくプロセスや、原作ではあまり描かれてない町の人々の日常生活等をリアルに描出して、戦後間もないフランス社会の裏側の一端を表した。1989年にパトリス・ル・コントが『仕立て屋の恋』としてリメイクしている。

 上映日:11月25日(月)17時~、12月4日(水)17時~

『巴里の空の下セーヌは流れる』sous le ciel de paris couple la seine (1951/仏/120分)

監督・原案:ジュリアン・デュヴィヴィエ

脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ ルネ・ルフェーブル

撮影:ニコラ・エイエ

音楽:ジャン・ウィエネル

出演:ブリジット・オーベール ジャック・クランシー クリスチアーヌ・レニエ レイモン・エルマンティエ マルセル・プランス ダニエル・イヴェルネル

★ パリに住む女性と彼女を頼って田舎から出て来た女性を中心に、殺人鬼の彫刻家や猫好きの老婆等、市井で暮らす様々な人々の生態を描いている。それぞれのエピソードに大都会の持つ矛盾や人々の屈折した心が感じられ、希薄な人間関係が引き起こす孤独が胸を打つ。

 上映日:11月29日(金)14時45分~、12月5日(木)14時45分~

『陽気なドン・カミロ』le petit monde de don camillo (1951/仏=伊/110分)

監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ

原作:ジョヴァンニ・ガレスキ

脚本:ルネ・バルジャヴェル

撮影:ニコラ・エイエ

音楽:アレッサンドロ・チコニーニ

ナレーション:ジャン・ドビュクール

出演:フェルナンデル ジーノ・チェルヴィ フランコ・インテルレンギ ヴェラ・タルキシルヴィー

★イタリアの片田舎に住む司祭カミロと共産党員である町長ペポネは、幼馴染でありながら思想的に相容れず何かと対立するのだが、お互いに堅い友情で結ばれていた。2人を巡る様々なエピソードが、風刺を交えて鮮やかに描かれた傑作コメディ。

 上映日:11月27日(水)14時45分~、12月6日(金)14時45分~

『ドン・カミロ頑張る』(1953/仏=伊/111分)

監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ

脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ ルネ・バルジャヴェル

撮影:アンキーゼ・ブリッツィ

音楽:アレッサンドロ・チコニーニ

出演:フェルナンデル ジーノ・チェルヴィ パオロ・ストッパ エドゥアール・デルモン

★「陽気なドン・カミロ」の続編。前作で懐かしい村を追われた司祭カミロは新しい地に赴任するの。敵対していた町長ペポネは新任の司祭が気に入らず、カミロの帰還を願って様々な策を弄して呼び戻すのだが・・・。ベルリン国際映画祭脚本賞受賞。

上映日:11月27日(水)17時~、12月6日(金)17時~

入場料:1300円均一(当日券のみ)

※2本連続鑑賞2400円 3本連続鑑賞3500円 4本連続鑑賞4500円

欧米クラシック・シリーズ㊴

ジュリアン・デュヴィヴィエ監督特集

 

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