
2019年最初の欧米クラシック・シリーズは、ファンの熱いご要望にお応えして、久々フィルムノワールを特集します。
ハメットの名作『マルタの鷹』、その最初の映画化版を始め、ノワールの傑作『M』、『郵便配達は二度ベルを鳴らす』のリメイク版など、いずれも見応えたっぷりの12本をラインナップ。
フィルムノワール黄金時に製作された作品群をこの機会にぜひお楽しみ下さい!
例によって複数本割もございますので、ぜひご利用下さい!!
上映期間 1月21日(月)~2月1日(金)
上映作品(全作品DVD上映)
『マルタの鷹』 The Maltese Falcon(1931年/B&W/80分)
監督:ロイ・デル・ルース
原作:ダシール・ハメット
脚本:モード・フルトン ブラウン・ホームズ
撮影:ウィリアム・リーズ
出演:ビービー・ダニエルズ リカルド・コルテス ダドリー・ディッグス ウナ・マーケル ロバート・エリオット セルマ・トッド
★サンフランシスコで私立探偵事務所を開いているサム・スペイドの所にルース・ワンダリーという女性が訪ねて来る。彼女は自分の妹を誘拐したサーズビーという男を尾行して欲しいと依頼する。サムのパートナーのアーチャーが引き受けるが、翌朝アーチャーとサーズビーは射殺される。サムはワンダリーを訪ねて事の真相を問い糾す。昨日の話は嘘でサーズビーが、アーチャーを殺したらしいという事、しかし、サーズビーを殺した犯人は分からないと言う。その日、探偵事務所にカイロ博士と名乗る男が訪ねて来て、ある黒い鷹の像を入手してくれれば謝礼をするという。そこに妹の尾行を依頼したワンダリーが訪ねてくる。黒い鷹の彫刻は地中海のマルタ島に十字軍の騎士がいた頃、スペイン王に献上するために作られた黄金の鷹の彫刻で、実態を隠すために黒く塗ったものだった。サムはカイロの依頼を引き受けるが事態は捜査当局を巻き込んだ騒動につきすすんでいく。’30年に発表されたダシール・ハメットの代表作『マルタの鷹』の最初の映画化作品。’41年に作られたヒューストン版が名高いが、デル・ルースのトーキー初期に作られた本作も見応え満載のノワール作品である。
上映日:1月26日(土)13時~、2月1日(金)15時30分~
『ビッグ・ボウの殺人』 The Verdict (1946年/B&W/86分)
監督:ドン・シーゲル
製作:ウィリアム・ジェイコブス ジャック・L・ワーナー
原作:イズレイル・ザングウィル
脚本:ピーター・ミルン
撮影:アーネスト・ホーラー
出演:シドニー・グリーンストリート ピーター・ローレ ジョーン・ロリング ジョージ・クールリス ロザリンド・イヴァン ポール・キャヴァナー アーサー・シールズ
★1890年のロンドン。長らくロンドン警視庁内の尊敬を集めていた警視ジョージ・エドワード・グロッドマン。だが彼の起こした捜査ミスによって無実の男が処刑されてしまう。グロッドマンは責任を取るとともに警視の座を追われ、代わりに日頃から敵対していたジョン・バックリーが警視に就任する。予想外の状況の変化で、自らの地位の危うさを感じ始めたグロッドマン。彼は警視に就いたバックリーの仕事を妨害しようと、不気味なアーティストの友人ビクター・エムリックの協力を取り付ける。ある謎めいた殺人事件が起きたとき、ふたりはこれがバックリーを陥れるチャンスの事件だと悟るの。『マルタの鷹』(’41)の共演で躍り出たグリーンストリートとローレのコンビで魅せるドン・シーゲルの長編ノワール・ミステリー処女作。
上映日:1月23日(水)15時~、28日(月)19時~
『パスポートのない女』 A Lady without Passport (1950年/B&W/74分)
監督:ジョセフ・H・ルイス
製作:サミュエル・マークス
原案:ローレンス・テイラー
脚本:ハワード・ディムスデイル シリル・ヒューム
撮影:ポール・C・ヴォーゲル
音楽:デヴィッド・ラクシン
出演:ヘディ・ラマール ジョン・ホディアク ジェームズ・クレイグ ジョージ・マクレディ スティーヴン・ジェレイ ネドリック・ヤング スティーヴン・ヒル
★車に轢かれた男が発見され、所持品からキューバからの不法移民と判明する。捜査員コルチャックは実態を解明しようとキューバに向い、現地でアメリカへの密航を斡旋する組織に潜入捜査する。パリノフという男がが仕切っているこの斡旋業を捜査する内に、コルチャックは難民の一人マリアンヌと知り合い恋に落ちる。パリノフはコルチャックの真の目的を知り、彼は殺そうとするが失敗に終わる。するとパリノフは彼を自分の商売に利用しようと決める。コルチャックは乗客の一人としてマリアンヌと共にアメリカに飛ぶ。だがその飛行機はアメリカ政府によって追跡されていた。密航機はフロリダの霧煙る湿地に着陸するのだが。前年公開されたMGM大作史劇『サムソンとデリラ』で一躍大女優に躍進したラマールがマリアンヌに扮してその美貌を披露している。
上映日:1月24日(木)17時~、28日(月)15時30分~
『14時間の恐怖』 Fourteen Hours (1951年/B&W/92分)
監督:ヘンリー・ハサウェイ
製作:ソル・C・シーゲル
原案:ジョエル・セイアー
脚本:ジョン・パクストン
撮影:ジョー・マクドナルド
編集:ドロシー・スペンサー
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:ポール・ダグラス リチャード・ベースハート バーバラ・ベル・ゲデス デブラ・パジェット アグネス・ムーアヘッド ロバート・キース ハワード・ダ・シルヴァ ジェフリー・ハンター マーティン・ガベル グレイス・ケリー
★ニューヨークのシティ・ホテルのある朝。ルームサービスのウエイターが15階の部屋に朝食を届けると、窓から突き出た外の小さな縁に宿泊客のロバート・コシックが立っているのを発見し、ホテルは騒然とし始める。コシックは幼少期から両親の愛に恵まれず、大人に成長するに連れ心を閉じるようになった。彼は恋人を幸せに出来ないかもしれないと、悩み恐れたあげく自殺しようとホテルの縁に立っていたのだ。いち早くホテルの下からコシックを発見した警官チャリー・ダニガンは、彼の自殺を思い留まらせようとあらゆる方法を試みる。14時間にわたって探り合う人々の思い入れと恐怖をサスペンスフルに描いたハサウェイの力作。フェリーニの『道』『崖』で名高いベースハートがコシック役を熱演している、他、グレ−ス・ケリーが端役でスクリーン・デビューした。
上映日:1月25日(金)15時~、28日(月)17時~
『テレグラフ・ヒルの家』 The House on Telegraph Hill (1951年/B&W/93分)
監督:ロバート・ワイズ
製作:ロバート・バスラー
原作:デイナ・ライオン
脚本:エリック・モル フランク・パートス
撮影:ルシアン・バラード
音楽:ソル・カプラン
出演:リチャード・ベースハート ヴァレンティナ・コルテーゼ ウィリアム・ランディガン フェイ・ベイカー ゴードン・ゲバート スティーヴン・ジェレイ
★ヴィクトリアは、ポーランドのナチスの強制収容所で、亡くなった人に成りすます事で生き延びてきた女だ。その彼女がサンフランシスコに住む”息子”クリストファーに会うためにやってきた。その少年の大叔母が亡くなり、莫大な遺産が少年に残されたからである。ヴィクトリアは少年の管財人アラン・スペンダーと知り合い、恋に落ち、彼らはテレグラフ・ヒルの邸宅に引っ越す。ある日、ヴィクトリアは、アランと彼の愛人である少年の家庭教師マーガレットが大叔母を殺したことを知る。そして、次は自分を殺そうと計画している事を知り驚く。キャリア初期にフィルム・ノワールの佳作を発表しているロバート・ワイズが、サンフランシスコを舞台にリアルなタッチで描いたシリアル・キラー映画。『ワイルド・バンチ』などの名キャメラマン、ルシエン・バラードのモノクロ画面がひときわ鮮やかな印象を残す。
上映日:1月21日(月)15時~、30日(水)17時~
『底流』 Undercurrent (1946年/B&W/116分)
監督:ヴィンセント・ミネリ
製作:パンドロ・S・バーマン
原案:セルマ・ストレイベル
脚本:エドワード・コドロフ
撮影:カール・フロイント
編集:フェリス・ウェブスター
音楽:ハーバート・ストサート
出演:キャサリン・ヘプバーン ロバート・テイラー ロバート・ミッチャム エドマンド・グウェン マージョリー・メイン ジェーン・メドウズ クリントン・サンドバーグ
★アメリカ中西部の小さな町に住む大学教授の娘アン・ハミルトンは、仕事で父を訪ねた東部の裕福な青年アランと恋に落ち結婚する。二人はワシントンDCにあるアランの家に住む事になる。アンはそこで行方不明になっているアランの弟マイケルの存在を知る。マイケルは小さい頃からうまく立ち回っては親の愛情を一人占めするは、二人で立ち上げた共同ビジネスからは金を横領して姿を消す”邪悪な弟”だという。アンはアランの留守中に人から聞いたマイケルの小屋を訪ね、そこの管理人からマイケルの事を聞く。しかし、後でその事を知ったアランはアンに激怒する。マイケルの女友達が、マイケルは実はアランに殺されたのだと、アンに告げたころから彼女の中で少しずつ夫への疑惑が芽生えてくる。そして、殺されたと思われていたマイケルが、突然、アンの前に姿を現した事から事態は急展開して行く。『巴里のアメリカ人』などのミュージカル映画で名高い、ヴィンセント・ミネリが監督した異色の心理ノワール映画。原題のundercurrentは表面には現れない、人間の感情の深層心理のことをいう。
上映日:1月26日(土)10時45分~、30日(水)19時~
『ヒッチ・ハイカー』 The Hitch-Hiker (1953年/B&W/71分)
監督:アイダ・ルピノ
製作:コリアー・ヤング
脚本:ロバート・L・ジョセフ アイダ・ルピノ コリアー・ヤング
撮影:ニコラス・ムスラカ
音楽:リース・スティーヴンス
出演:エドモンド・オブライエン フランク・ラヴジョイ ウィリアム・タルマン ホセ・トルベイ サム・ヘイズ
★釣り旅行へ向かう途中の二人組が、途中、立ち往生していた車の運転手を拾い車に乗せるが、実は男は精神異常の脱獄者だった。男は捜査当局の追跡を巧みに交わしながら、殺人を犯していた。男は二人組を残酷にあざけり、脅し、またこの旅が終わるまでのどこかで、二人とも殺すつもりだと告げて邪悪な喜びに浸った。男が向かう先はメキシコのバハ・カリフォルニアで、アメリカへの連絡船に乗り込み逃亡しようとしている。人質の二人は、少しでも長く生き延び隙を見て逃げるか、メキシコ当局に救出される事を願った。女流監督の先駆けとして名高いアイダ・ルピノのアメリカ映画史に残る伝説のフイルム・ノワール。映画は1950年カリフォルニアで5人家族などを殺した後、州のブライスの保安官代理ホーマーを誘拐して砂漠に置き去りにしたビリー・クックの実人生に着想を得て、ルピノ他が脚本を書き製作された。86年にルトガー・ハウアー主演で『ヒッチャー』としてリメイクされている。
上映日:1月25日(金)17時~、30日(水)15時30分~
『M』 M (1951年/B&W/88分)
監督:ジョセフ・ロージー
製作:シーモア・ネベンザル
脚本:レオ・カッチャー ノーマン・ライリー・レイン ウォルド・ソルト
撮影:アーネスト・ラズロ
音楽:ミシェル・ミシェレット
出演:デヴィッド・ウェイン ハワード・ダ・シルヴァ マーティン・ガベル ルーサー・アドラー スティーヴ・ブロディ レイモンド・バー グレン・アンダース ノーマン・ロイド
★ロスアンゼルス。小さな子供ばかりを狙った連続殺人事件が発生し、警察と暗黒街の犯罪者たちが謎の殺人鬼を追いつめていく。フリッツ・ラングの傑作『M』のプロデューサー、シーモア・ネザンベルが30年後に舞台をベルリンからロスアンゼルスに移して製作。脚本をオリジナル版のテア・フォン・ハルボウ、ラングらも協力して完成させ新鋭のジョセフ・ロージーが監督した傑作。『ブレードランナー』などにも登場するLAの有名なブラッドベリービルの地下室、独特の階段やバルコニーや屋上などを捉えた『キッスで殺せ』などの名キャメラマン、アーネスト・ラズロの斬新な撮影が、全編に不気味なインパクトを与えている。殺人鬼マーティン・W・ハローを演じたデヴィッド・ウェインをはじめ、犯罪者のリーダー役のガベル、警察官を演じたダ・シルヴァなどの説得力ある演技を引き出し、陰惨なテーマを巧みな演出力で完成させたロージーの才が全編で冴えわたる。
上映日:1月23日(水)17時~、2月1日(金)19時~
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』The Postman always Rings Twice(1946年/B&W/113分)
監督:テイ・ガーネット
製作:ケイリー・ウィルソン
原作:ジェームズ・M・ケイン
脚本:ハリー・ラスキン ニーヴェン・ブッシュ
撮影:シドニー・ワグナー
音楽:ジョージ・バスマン
出演:ジョン・ガーフィールド ラナ・ターナー セシル・ケラウェイ ヒューム・クローニン レオン・エイムズ オードリー・トッター アラン・リード
★ハイウェイ沿いのレストランに流れてきた青年が、満たされない日々を送っていた主人の妻と親しくなり、保険金を掛けて夫を殺してしまうという男女の情欲と殺意をリアルに描いたハードボイルドの先駆的作品。ラナ・ターナーはこの映画が出世作。
上映日:1月27日(日)10時45分~、31日(木)19時~
『その男を逃すな』He Ran All The Way(1951年/B&W/77分)
監督:ジョン・ベリー
製作:ボブ・ロバーツ
原作:サム・ロス
脚本:ガイ・エンドア
撮影:ジェームズ・ウォン・ハウ
音楽:フランツ・ワックスマン
出演:ジョン・ガーフィールド シェリー・ウィンタース ウォーレス・フォード セレナ・ロイル グラディス・ジョージ ノーマン・ロイド
★ふとしたことから殺人強盗犯人を家の中に誘い込んでしまった一家が、拳銃で脅されながら犯人を匿うはめになってしまう。家に連れて来た娘は責任を感じる一方、次第に犯人に惹かれて、一家を救うためにも犯人と駆け落ちをしようとする。しかし、逃走のための車を巡って犯人が疑心暗鬼になり、悲劇的な結末へと向かう。撮影終了後に急逝したガーフィールドの遺作となった。
上映日:1月27日(日)13時~、31日(木)15時30分~
『青い戦慄』The Blue Dahlia(1946年/B&W/99分)
監督:ジョージ・マーシャル
製作:ジョン・ハウスマン
脚本:レイモンド・チャンドラー
撮影:ライオネル・リンドン
音楽:ヴィクター・ヤング
出演:アラン・ラッド ヴェロニカ・レイク ウィリアム・ベンディックス ハワード・ダ・シルヴァ ヒュー・ボーモント ドリス・ダウリング
★ハードボイルド作家、レイモンド・チャンドラー脚本によるサスペンス映画。復員して自宅に帰ったパイロットが妻の不貞を目撃する。その後妻が射殺死体で発見されたことから彼が疑われ、無実を証明するために独自の捜査を開始するのだった。意外な結末にチャンドラーらしい味わいが楽しめる。
上映日:1月24日(木)15時~、2月1日(金)17時~
『影なき男』The Thin Man(1934年/B&W/91分)
監督:W・S・ヴァン・ダイク二世
製作:ハント・ストロンバーグ
原作:ダシール・ハメット
脚本:フランセス・グッドリッチ アルバート・ハケット
撮影:ジェームズ・ウォン・ハウ
音楽:ウィリアム・アクスト
出演:ウィリアム・パウエル マーナ・ロイ モーリン・オサリヴァン ナット・ペンドルトン ミナ・ゴンベル シーザー・ロメロ ナタリー・ムーアヘッド
★女秘書ジュリアが原因で妻のミミと離婚した発明家のワイナント。発明上の秘密旅行に出かけた彼は弁護士のマコーレーを通じてジュリアから生活費を受けていたが、彼女は惨殺されてしまう。ワイナントが疑われたため、彼の旧知の探偵ニックが事件の解決に乗り出すことになった。しかし、やがてワイナント自身も死体となって発見される。ニックは意外な人物を犯人と指摘するのだった。後にシリーズ化された。
上映日:1月21日(月)17時~、31日(木)17時~
入場料:1100円均一(当日券のみ)
※2本連続鑑賞2100円 3本連続鑑賞3100円
欧米クラシック・シリーズ㉘
フィルムノワール特集












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