欧米クラシック・シリーズ第40弾は、『欲望という名の電車』、『エデンの東』などの名作で知られるハリウッドの巨匠、エリア・カザンのデビュー作から初期作まで5本セレクトしてお届けします。
揺るぎないフィルモグラフィを築き上げながらも、赤狩りによって裏切り者のレッテルを張られ、映画人生の後期はあまり恵まれないものとなりましたが、人間をしっかりと見つめた演出手腕は時代に流されることなく、今も輝きを放っています。
この機会にぜひ、巨匠の足跡を辿ってみてください。
例によって複数本割もございますので、ぜひご利用下さい!!
エリア・カザン Elia Kazan(1909年9月7日 - 2003年9月28日)
トルコ出身。学校を転々とした後、グループ・シアターに加わって俳優・演出家としてスタート。映画への出演、舞台演出家を経て45年に初の長編映画「ブルックリン横町」を発表。47年には「紳士協定」でアカデミー作品賞・監督賞を受賞し、巨匠の仲間入りを果たした。一流の作家の原作をもとにした「欲望という名の電車」、「波止場」、「エデンの東」などの作品を手掛け、名声を不動のものとした。また、マーロン・ブランド、ジェームス・ディーン、ウォーレン・ベイティなどを見出したのも彼である。しかしこうした映画界への功績も、赤狩りの風が吹き荒れた52年。それまでの姿勢を手のひらを返すように一転させて数人の友人が共産党員であることを暴露し、尚かつ“NYタイムズ”紙に“自分は共産党員ではない!”と、自費広告まで出して物議を醸しだした。そしてその行為は現在に至っても非難の的になり、98年のアカデミー名誉賞受賞の折りにも式場にいた半数の映画関係者が拍手もせずにぶ然とした態度でカザンを睨め付けていたのが印象的だった。76年の「ラスト・タイクーン」で映画界を引退、小説や自伝などに活動の場を移した。62年に前妻と死別。再婚したバーバラ・ローデンとも80年に死別している。03年9月に死亡。
上映期間 12月19日(木)~25日(水)
上映作品(全作品DVD上映)
『ブルックリン横丁』A Tree Grows in Brooklyn(1945年/アメリカ/B&W/123分)
監督:エリア・カザン
製作:ルイス・D・ライトン
原作:ベティ・スミス
脚本:テス・スレシンジャー フランク・デイヴィス
撮影:レオン・シャムロイ
音楽:アルフレッド・ニューマン
助監督:ニコラス・レイ
出演:ペギー・アン・ガーナー ジェームズ・ダン ドロシー・マクガイア ジョーン・ブロンデル ロイド・ノーラン テッド・ドナルドソン ジェームズ・グリーソン
★ニューヨークの下町、ブルックリンで暮らすアイルランド移民一家の貧しい生活を、長女フランシーの視点から描いたヒューマン・ドラマ。アカデミー賞助演男優賞を受賞したジェームズ・ダンが口ずさむ”アニー・ローリー”が印象的だ。劇作家ベティ・スミスの自伝的小説の映画化で、ブロードウェイから迎えられたカザンの第一回監督作品。
上映日:12月19日(木)16時~、12月23日(月)18時40分~
『影なき殺人』Boomerang ! (1947年/アメリカ/B&W/88分)
監督:エリア・カザン
製作:ルイ・ド・ロシュモント
脚本:リチャード・マーフィ
撮影:ノーバート・ブロダイン
音楽:デヴィッド・バトルフ
出演:ダナ・アンドリュース リー・J・コッブ ジェーン・ワイアット アーサー・ケネディ サム・レヴェン ロバート・キース テイラー・ホームズ エド・ベグリー カール・マルデン
★人々から信頼されていた神父が殺され復員兵が逮捕されたが、彼の無罪を信じた地方検事が証人の陳述をくつがえして無罪を勝ち取るまで。実話に基づいたセミ・ドキュメンタリー映画の先鞭をつけた作品で、カザン監督がニューヨーク批評家協会賞の監督賞を受賞した。
上映日:12月20日(金)18時40分~、12月25日(水)17時~
『大草原』The Sea of Grass(1947年/アメリカ/B&W/123分)
監督:エリア・カザン
製作:パンドロ・S・バーマン
原作:コンラッド・リクター
脚本:マーガリット・ロバーツ ヴィンセント・ローレンス
撮影:ハリー・ストラドリング
音楽:ハーバート・ストサート
出演:キャサリン・ヘプバーン スペンサー・トレイシー メルヴィン・ダグラス ロバート・ウォーカー ハリー・ケリー フィリス・サクスター エドガー・ブキャナン
★19世紀末の米中西部の牧畜業と農業の対立を背景に1人の女性の愛を描いた大河ドラマ。ニューメキシコの家畜王ジムと結婚したセントルイスの金持ちの娘のルーティーは、草原を愛して農業を嫌悪する夫といつしか冷たい仲になり、家を出て弁護士のチェンバレンと愛し合うようになるが、長じてならず者となった息子の死をきっかけにジムと仲直りする。トレイシーとヘップバーンの4作目のコンビ作品。
上映日:12月19日(木)18時40分~、12月23日(月)16時~
『ピンキー』Pinky(1949年/アメリカ/B&W/102分)
監督:エリア・カザン
製作:ダリル・F・ザナック
原作:シド・リケッツ・サムナー
脚本:フィリップ・ダン ダドリー・ニコルズ
撮影:ジョセフ・マクドナルド
編集:ハーモン・ジョーンズ
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:ジーン・クレイン エセル・バリモア エセル・ウォーターズ ウィリアム・ランディガン ベイジル・ルイスデール ケニー・ワシントン ニナ・メエ・マッキニー グリフ・バーネット フレデリック・オニール
★現代アメリカの人種差別をテーマとしたヒューマン・ドラマ。ピンキーという愛称のパトリシアは、黒人と白人の混血だが外見は白人そのもの。北部の看護学校を卒業し故郷に戻った彼女は、祖母と再会、荘園の女主人の介護を頼まれる。だが、女主人が遺産をピンキーに遺したことから女主人の従姉妹が訴訟を起こし、ピンキーは法廷で闘うことになる。アカデミー主演女優賞・助演女優賞ノミネート作品。
上映日:12月20日(金)15時~、12月25日(水)15時~
『暗黒の恐怖』Panic in The Streets(1950年/アメリカ/B&W/96分)
監督:エリア・カザン
製作:ソル・C・シーゲル
原作:エドナ・アンハルト エドワード・アンハルト
脚本:リチャード・マーフィ ダニエル・フックス
撮影:ジョー・マクドナルド
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:リチャード・ウィドマーク ポール・ダグラス バーバラ・ベル・ゲデス ウォルター・ジャック・パランス ゼロ・モステル ダン・リス
★ニューオリンズを舞台に犯罪と伝染病を絡ませドキュメンタリー・タッチで描いた異色犯罪ドラマ。ポーカーの争いでブラッキーに殺された男を検死した公衆衛生局のリードは、被害者がペストに罹っていたことを発見。48時間以内に犯人を逮捕しないと恐ろしい伝染病が蔓延すると警察の捜査課長に警告し、警察とともに犯人を追い詰める。J・パランスの映画デビュー作。アカデミー脚本(原案)賞受賞。ヴェネチア映画祭国際賞受賞。
上映日:12月20日(金)17時~、12月25日(水)18時40分~
入場料:1300円均一(当日券のみ)
※2本連続鑑賞2400円 3本連続鑑賞3500円
欧米クラシック・シリーズ㊵
エリア・カザン監督特集
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