欧米クラシック・シリーズ第52弾は、戦後、社会派の巨匠として数々の問題作を放ってきたオットー・プレミンジャー監督特集です。
『悲しみよこんにちは』のような小ぶりの文芸作から、『栄光への脱出』のような超大作まで、硬質の語り口で見せきる手腕を持ち合わせた、ハリウッドの異端児にして唯一無二の映画作家でした。
今回の上映では、フォックス時代のノワール小品や、スクリューボールコメディキング、エルンスト・ルビッチの補佐を務めた作品など、独自路線を開拓する以前の作品群を中心にお届けします。
例によって複数本割もございますので、ぜひご利用下さい!!
オットー・プレミンジャー Otto Preminger(1905年12月5日 - 1986年4月23日)
オーストリア=ハンガリー帝国出身。学生時代から演劇に傾倒するが、ユダヤ人だったのでナチスの台頭を機に1935年渡米。1944年、フィルム・ノワール『ローラ殺人事件』でルーベン・マムーリアンの代打として初メガホンを取り、絶賛される。以後、プロデューサー兼監督として、タブーに挑む大胆な映画を次々と世に送り出し、社会派の巨匠として認知される一方、『第十七捕虜収容所』など、俳優としても高い評価を得る。代表作に『黄金の腕』(55)、『哀しみよこんにちは』(57)、『栄光への脱出』(60)など。1986年、アルツハイマー型認知症とガンで満79歳で没した。遺作はグレアム・グリーン原作の『ヒューマン・ファクター』。
上映期間 12月7日(月)~12月11日(金)
上映作品(全作品DVD上映)
『ロイヤル・スキャンダル』A Royal Scandal(1945年/米/B&W/94分)
監督:オットー・プレミンジャー エルンスト・ルビッチ
製作:エルンスト・ルビッチ
原作戯曲:メルキオール・レングィエル
原案:ラホス・ビロ
脚本:ブルーノ・フランク エドウィン・ジャスタス・メイヤー
撮影:アーサー・C・ミラー
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:タルーラ・バンクヘッド チャールズ・コバーン アン・バクスター ウィリアム・イース ヴィンセント・プライス ミシャ・オウア
★ロマノフ朝の第八代女帝エカチェリーナ二世(バンクヘッド)のところに若き将校アレクセイ中尉が軍部内のクーデターの陰謀を報告しに宮廷にやってくる。やがてエカチェリーナはまだ24歳の若きアレクセイの情熱と美貌に惹かれ近衛司令官に任命するのだが・・・。ルビッチ得意の宮廷コメデイだが、撮影中心臓発作に見舞われ急遽オットー・プレミンジャーが演出を担当し、ルビッチ・タッチを踏襲している。因にプレミンジャーはルビッチの遺作となった『あのアーミン毛皮の貴婦人』(1948)でも撮影終了後8日目に急逝したルビッチの代役を務めている。
上映日:12月9日(水)11日(金)15時~
『堕ちた天使』Fallen Angel(1945年/米/B&W/98分)
監督・製作:オットー・プレミンジャー
原作:マーティ・ホランド
脚本:ハリー・クレイナー
撮影:ジョセフ・ラシェル
編集:ハリー・レイノルズ
出演:アリス・フェイ ダナ・アンドリュース リンダ・ダーネル チャールズ・ビックフォード アン・リヴェール ブルース・キャボット ジョン・キャラダイン パーシー・キルブライド
★サンフランシスコに向かう途中、寂れた田舎町でバスを降りた詐欺師エリックは、そこの薄汚れた食堂で働く妖艶な女ステラに出会い一目惚れする。しかし派手好みな彼女と結婚するためには金が必要だった。やがてエリックは、財産目当てに金持ちのオールド・ミス、ジェーンと知り合い、次第にジェーンを虜にしていく。やがて二人は結婚するが、その矢先にステラの死体が発見され、警察はエリックを執拗に追いつめていく・・・。傑作『ローラ殺人事件』(44)でアカデミー5部門にノミネートされ、一躍注目されたプレミンジャーが小さな田舎町を舞台にファム・ファタールに翻弄される男を描いた佳作。ジョセフ・ラシェルの光と影を多用したキャメラ・ワークがひときわ鮮やか。
上映日:12月9日(水)11日(金)17時~
『あのアーミン毛皮の貴婦人』That Lady In Ermine(1948年/米/カラー/89分)
監督:エルンスト・ルビッチ オットー・プレミンジャー(クレジットなし)
製作:エルンスト・ルビッチ
原作:ルドルフ・シャンツァー(クレジットなし) エルンスト・ヴェリッシュ(クレジットなし)
脚本:サムソン・ラファエルソン
撮影:レオン・シャムロイ
編集:ドロシー・スペンサー
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:ベティ・グレイブル ダグラス・フェアバンクス・Jr シーザー・ロメロ ウォルター・エイブル レジナルド・ガーディナー ハリー・ダヴェンポート ウィット・ビセル
★1861年、ヨーロッパ南東の小国ベルガモの女伯爵アンジェリーナは、幼なじみの男爵マリオと結婚式を挙げる。ところが式の最中、ベルガモの城はハンガリーの騎兵団に取り囲まれ、彼らに城を明け渡す運命に。城の回廊には、アンジェリーナに生き写しの300年前の女城主フランチェスカをはじめ、歴代の城主たちの肖像画が数多く飾られていたが、ベルガモの運命の行く末を案じる彼らはひそかに絵の中から抜け出してこの世に蘇り・・・。ルビッチ監督の幻の遺作となったミュージカル・コメディの傑作。
上映日:12月7日(月)&10日(木)19時~
『疑惑の渦巻』Whirlpool(1949年/米/カラー/98分)
監督・製作:オットー・プレミンジャー
原作:ガイ・エンドア
脚本:ベン・ヘクト アンドリュー・ソルト
撮影:アーサー・ミラー
音楽:デヴィッド・ラクシン
出演:ジーン・ティアニー リチャード・コンテ ホセ・ファーラー チャールズ・ビックフォード バーバラ・オニール エドュアルド・フランツ コンスタンス・コリアー
★盗癖があるブルジョア精神分析医の妻アンは、ある日、デパートで万引きし危うく警察に突き出されそうになる。しかし、コルヴォという催眠術を研究する医者に助けられる。やがて長い間、情緒不安定のため不眠症に悩まされていたアンの治療をする事になったコルヴォは、裏の顔を持つ男だった・・・。心の病を持った人妻が悪徳医師の催眠術療法で殺人犯にしたてられていく様を、息の詰まるサスペンス・タッチで描いた犯罪ミステリー。1940年にフリッツ・ラングの『地獄への逆襲』でデビュ−して一躍人気女優になったジーン・ティアニーが、『ローラ殺人事件』に続いて主演したプレミンジャー作品で、その類いまれな美貌と存在感は素晴らしい。
上映日:12月9日(水)11日(金)19時~
『天使の顔』Angek Face(1953年/米/カラー/91分)
監督・製作:オットー・プレミンジャー
原案:チェスター・アースキン
脚本:オスカー・ミラード フランク・S・ニュージェント
撮影:ハリー・ストラドリング
音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演:ロバート・ミッチャム ジーン・シモンズ ハーバート・マーシャル モナ・フリーマン レオン・エイムズ バーバラ・オニール ジム・バッカス
★救急車の運転手フランクは裕福なイギリス人のトレメイン家に呼ばれ、ガス中毒で亡くなる寸前だった夫人を救ったことからその家の運転手になる。フランクは継母が助かった時ヒステリーを起こした娘ダイアンと恋仲になるが、次第に彼女が継母の殺害を企んでると疑い始める。天使の顔をした悪女ダイアンの悪巧みに気ずきながらも、彼女にのめり込んでいくフランクの狂い出した歯車は誰にも止めることはできない。『ローラ殺人事件』と並ぶプレミンジャーの傑作フイルム・ノワール。
上映日:12月7日(月)&10日(木)15時~
『月蒼くして』 The Moon Is Blue (1953年/米/B&W/100分)
監督・製作:オットー・プレミンジャー
原作:F・ヒュー・ハーバート
脚本:F・ヒュー・ハーバート グレゴリー・ラトフ
撮影:アーネスト・ラズロ
音楽:ハーシェル・バーク・ギルバート
出演:ウィリアム・ホールデン マギー・マクナマラ ドーン・アダムス デヴィッド・ニーヴン トム・テューリー
★同名の戯曲の映画化作品で、エンパイアステート・ビルで出会った建築家ドンと若い娘パティとの少々滑稽でニヤリとさせる騒動が展開される。軽妙洒脱なセリフが、公開当時アメリカでは露骨すぎると物議をかもしたが、新しいタイプの若い女性を描いた作品として評判になった。
上映日:12月7日(月)&10日(木)17時~
スニークプレビュー
上映日:12月7日(月)12時45分~、9日(水)12時~、10日(木)13時~
入場料:1300円均一(当日券のみ)
※2本連続鑑賞2400円 3本連続鑑賞3500円
欧米クラシック・シリーズ52
オットー・プレミンジャー監督特集
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