欧米クラシック・シリーズ第20弾は、先に特集して好評だったホラーに加え、SFテイストの作品も網羅した『SF/ホラー特集』をお届けします。
定番のボリス・カーロフ、ベラ・ルゴシ主演作品はもちろんのこと、フランスの巨匠アベル・ガンスが主演も兼ねた異色作『世界の終り』やロバート・シオドマクの弟カート・シオドマク監督の『マグネティック・モンスター』など11本を厳選!
ジャンルファン以外にもお楽しみいただけるラインナップとなっております。
普段はSFやホラーは苦手と敬遠されている方々も、ぜひこの機会にトライしてみてはいかがでしょうか。
例によって複数本割もございますので、ぜひご利用下さい!!
上映期間 5月14日(月)~24日(木)
上映作品(全作品DVD上映)
『マグネティック・モンスター』The Magnetic Monster(1953年/米/B&W/76分)
監督: カート・シオドマク
製作: アイヴァン・トース
脚本: カート・シオドマク アイヴァン・トース
撮影: チャールズ・ヴァン・エンジャー
出演: リチャード・カールソン キング・ドノヴァン ジーン・バイロン ハリー・エラービイ レオ・ブリット レオナルド・ムディエ
★OSI(科学捜査局)のエージェントのスチュアートとフォーブスは調査に送り込まれた地元の金物屋で、店にあるすべての金属製品を磁化する強力な磁場がある事を知る。磁場の源と開発した科学者を調査を進める内に突きとめるのだが、その”セラニウム”と名付けられた新元祖には驚くべき性質があった。セラニウムは、周りにある金属の物体から吸収したエネルギーを物質を作ることで、幾何学的に成長していた。スチュアートの試算では、すぐにでもその物体を爆破しなければ、大きくなりすぎて24時間以内には地球が軌道から外れてしまうと言うだった。『ドノヴァンの脳髄』『ハウザーの記憶』などのSF小説や、『日曜日の人々』などの脚本家としても知られるカート・シオドマクが監督した異色SF映画。兄は映画監督のロバート・シオドマク。
『凸凹火星探険』Abotto and Costello Go To Mars(1953年/米/B&W/77分)
監督: チャールズ・ラモント
製作: ハワード・クリスティ
脚本: D・D・ボーチャンプ ジョン・グラント
撮影: クリフォード・スタイン
音楽: ジョセフ・ガーシェンソン
出演: バッド・アボット ルー・コステロ ロバート・ペイジ マリー・ブランチャード マーサ・ハイヤー ホレイス・マクマホン アニタ・エクバーグ
★火星探検ロケットで飛び立ったオーヴィルとレスターが、まず着いたところは謝肉祭でにぎわうニュー・オーリンズだった。人々のグロテスクな仮装を見た二人は当初てっきり火星に到着と思い込むが、間違いに気づき再び出発。宇宙旅行の末にたどり着いたのは、金星(ヴィーナス)でその名の通りここは美女だけが住む星だった。1941年位スタートしたアボット&コステロの凸凹シリーズの28作目の珍作で、当時のハリウッドのSF映画ブームをいち早く取り入れている。空飛ぶ円盤、レイ・ガン、過去を再現する回想ヴィジョン器、邪心発見風船などの、珍品SF小道具が続出して楽しませてくれる。
『世界の終り』La Fin Du Monde (1931年/仏/B&W/105分)
監督: アベル・ガンス
製作: イワノフ
原作: カミーユ・フラマリオン
脚本: アベル・ガンス
撮影: ジュール・クリュージェ ニコラス・ルーダコフ ロジェ・ユベール M・フォルステル
音楽: オンデス・マルテノ ミシェル・ミシェレット
出演: アベル・ガンス コレット・ダルフィーユ ヴィクトル・フランサン ジョルジュ・コラン
★巨匠アベル・ガンスの最初のSFトーキー映画。天文学者マルチアルは、ある巨大彗星が地球に向かって突進している事を発見した。地球に彗星が激突すれば世界は破滅する。しかもそれは2ヶ月後に迫っている。このニュースが世に駆け巡ると世界中がパニックを起こし始めた。フランスの天文学者&SF作家として知られるカミーユ・フラマリオンの壮大で特異なヴィジョンをもった先駆的原作を映画化した、この作品は”隕石ものSF映画”の草分け作品として知られる。1913年から映画化を進めていたガンスの完成当初の本作は3時間を越えた超大作だったが、制作者によって105分にカットされて公開された。
『ドクターX』DoctorX (1932年/米/B&W/76分)
監督: マイケル・カーティス
原作: ハワード・W・コムストック アレン・C・ミラー
脚本: ロバート・タスカー アール・ボールドウィン
撮影: リチャード・タワース
出演: ライオネル・アトウィル フェイ・レイ リー・トレイシー アーサー・エドマンド・ケリー プレストン・フォスター
★満月の夜に発生する連続猟奇殺人事件。ニューヨークの新聞は犯人を”ムーン・キラー”と名付けた。その犠牲者は体の一部が切り取られていた。事件が医大の 近くで発生している事もあり、警察は大学の関係者を疑いだす。医大のザビエ教授は大学の名誉をかけて48時間以内に、自らの心理試験で犯人を突き止めると 警察に言い渡す。ザビエ教授の指示でカニバリズムの研究者で義手のウエルズ博士、月が精神に与える影響を研究するローウイッツ博士、足が不自由なデューク 博士などが集められ実験が始まる。マイケル・カーティスが猟奇犯罪をテーマに描いたSFホラー。ザビエ教授の娘ジョアン役のフェイ・レイは翌年の『キン グ・コング』でブレイクした。なお、特殊メイクは化粧品会社マックス・ファクターの創始者マックス・ファクターその人である。
『古城の妖鬼』Mark of the Vampire (1935年/米/B&W/68分)
監督: トッド・ブラウニング
製作: E・J・マニックス
原作: トッド・ブラウニング
脚本: ガイ・エンドア バーナード・シューバート
撮影: ジェームズ・ウォン・ハウ
出演: ベラ・ルゴシ ライオネル・バリモア エリザベス・アラン ライオネル・アトウィル カロル・ボーランド ジーン・ハーショルト ドナルド・ミーク
★舞台は現代のヨーロッパ。貴族のカレルの変死体が発見される。検死担当医は、遺体から大量の血が抜き取られている事や、首筋に小さな傷が2つ残されていた ことから、吸血鬼の犯行と疑い村人にもその事が伝わる。地元では古城に住むモーラ伯爵と娘ルナの吸血鬼伝説が根強く信じられていたのだ。警察は迷信だとし て一笑に付したが、その後も関係者が吸血鬼に襲われるという事件が発生したことから周辺に緊張が走る。さらに古城の廃墟で真夜中に吸血鬼の姿が目撃された ことから、村の人々にパニックが起る。事態を重く見ニューマン警部はヴァンパイア研究の第一人者であるゼリン教授を呼び寄せる。トッド・ブラウニングが自 身のサイレント映画london after midnight(’27)をリメイクした上質のエンターテイメント・ゴシック・ホラー。
『死人の眼』Deadman’s Eye (1944年/米/B&W/64分)
監督: レジナルド・ル・ボーグ
製作: ウィル・コーワン
脚本: ドワイト・V・バブコック
撮影: ポール・アイヴァノ
音楽監督: ポール・ソーテル
出演: ロン・チェイニー・Jr ジーン・パーカー ポール・ケリー トーマス・ゴメス アクアネッタ
★アーティストのデーブ・スチュアートは裕福なヘイデンと婚約している。だが、彼のモデル、タニヤも彼に思いを寄せるあまり、病的な迄に嫉妬深くなっていた。ある晩、彼はタニヤから酸を目に浴びせられ盲目にされる。再び視力を回復するためにと、許婚の父親が自分の両目を提供してくれることになった。だが、彼が亡くなるまで待たなくてはならない。しかし、父親が急死したため疑惑はスチュアートに向けられる。入り組んだ物語が小気味良いテンポで手際よくまとめられたているホラー・ミステリーで、狼男やミイラ男で知られるロン・チェイニーjrがスチュアート役を好演。
『ベラ・ルゴシの幽霊の館』Invisible Ghost (1941年/米/B&W/64分)
監督: ジョセフ・H・ルイス
製作: サム・カッツマン
脚本: ヘレン・マーティン アル・マーティン
撮影: ハーヴェイ・グールド マルセル・ル・ピカード
音楽: ジョニー・ラング リュー・ポーター
出演: ベラ・ルゴシ ポリー・アン・ヤング ジョン・マクガイア クラレンス・ミューズ テリー・ウォーカー ベティ・カンプソン
★チャールス・ケスラーは豪華な屋敷の居間で一人夕食のテーブルにつく。そして誰もいないテーブルの対面に向かって話し始める。愛妻が車で事故死したのを受け入れられず、彼女との結婚記念日にはいるはずのない妻と共に食事をとるケスラー。執事のエヴァンスはケスラーの状況を理解しようとしてるが、娘のヴァージニアは思い悩んでいる。彼女は恋人のラルフに、母は駆け落ちした男と逃げる途中に事故死したと打ち明けるが、真剣に取り合ってもらえない。一方、庭師のジュールズは冷蔵庫から食料を盗み出しある建物の地下に運び込んで行く。そこには一人の美女がベッドに横たわっている。その女は亡くなったはずのケスラー 夫人だった。『私の名前はジュリア・ロス』『拳銃魔』などで知れれるB級映画の帝王ジョゼフ・H・ルイスがコロンビア映画からモノグラムに移籍した直後に 演出した怪奇スター、ルゴシ主演のホラー。
『謎の下宿人』The Lodger (1944年/米/B&W/84分)
監督: ジョン・ブラーム
原作: マリー・ベロック=ローンズ
脚本: バー・リンドン
撮影: ルシアン・バラード
音楽: ヒューゴ・フリードホーファー
出演: マール・オベロン ジョージ・サンダース レアード・クリーガー セドリック・ハードウィック サラ・オールグッド オーブリー・メイザー クィーニー・レナード
★1888年のロンドンは女だけを狙う殺人鬼”切り裂きジャック”が出現し、住人は恐怖におののいていた。ロンドン警視庁も総動員で逮捕しようと狂奔するが捕まらない。ある夜、イースト地区で下宿屋を営む老夫婦のところに、医者を名乗る男が訪ねて来て「広告を見た、部屋を借りたい」言ってきた。彼は神経質そうに、研究で仕事の時間が不規則で深夜に出かけることもあるが気にしないで欲しい、という。家には姪の売れっ子ダンサーのキティも住んでいた。やがて警視庁のウォーリック警部が訪ねて来て、切り裂きジャックは女優やダンサーを狙うから気をつけるようにと忠告して帰る。その後、老夫婦はようやく下宿人の行動 に不審感を持ち始める。マリー・ベロック=ローンズの原作を元に映画化されたサイコ・ホラー・サスペンス。陰翳に満ちたルシエン・バラードの映像美は圧巻。謎の下宿人を演ずる舞台出身のレアード・クレガーの内に秘めた冷酷な演技は見事。ヒッチコックの『下宿人』(’27)に続く二度目の映画化でその後もこのテーマは何度も映画化されている。
『動物園殺人事件』Murders in The Zoo (1933年/米/B&W/84分)
監督: エドワード・サザーランド
脚本: フィリップ・ワイリー シートン・I・ミラー
撮影: アーネスト・ホーラー
出演: ライオネル・アトウィル チャールズ・ラグルス ランドルフ・スコット ゲイル・パトリック ジェーン・ダーウェル ジョン・ロッジ
★大富豪のエリック・ゴーマンは動物学者でありハンターで、サファリから集めた野生動物の私設動物園を作っていた。また彼は、異常なほど嫉妬深く危険な動物を使って、妻の浮気になりそうな男や気に入らない人物たちを闇に葬っていた。映画製作倫理規定が施行される前の1933年に作られた本作は薄気味悪くよこしまで、当時としては非常にショッキングであったろうと思わせるホラー・スリラーである。サディストの動物園オーナーを演じるアトウィルの圧巻の演技が全編を貫いている。またオスカーに7度ノミネートされたアーネスト・ホーラーの撮影による映像は見応えある。
『死刑台の呪い』Before I Hang (1940年/米/B&W/62分)
監督: ニック・グラインド
製作: ウォーレス・マクドナルド
原案: カール・ブラウン ロバート・D・アンドリュース
脚本: ロバート・D・アンドリュース
撮影: ベンジャミン・クライン
音楽: モリス・W・ストロフ
出演: ボリス・カーロフ イヴリン・キース ブルース・ベネット ペドロ・デ・コルドバ エドワード・ヴァン・スローン
★ガース博士は若返り療法を期待されて、ある人物に実験を施す。だが途中、激しい苦痛に襲われているのを見かねた博士は、彼を苦痛から解放した。悪意はなく慈悲心で行った処置だったが、彼は殺人容疑で死刑を求刑される。刑の執行3週間前に刑務所長は、ガースの研究を完成させぬまま墓送りにすることは出来ないことに気づく。問題は人体実験の被験者が必要で、死ぬ運命になってるガース以上に適任者はいないということだった。しかし、運命の皮肉で彼の判決は減刑され実験は続けられることになるが、さらに深刻な問題が発生する。彼が自分に注射した血清には凶悪犯罪者の血が混じっており、次第に殺人の衝動が抑えられなくなる。そして恩赦になり刑務所を出た途端、人を殺し始める。ジキルとハイドをカーロフが演じたサイコ・ホラー。
『奇妙な扉』The Strange Door (1951年/米/B&W/81分)
監督: ジョセフ・ペヴニー
製作: テッド・リッチモンド
原作: ロバート・ルイス・スティーヴンソン
脚本: ジェリー・サックハイム
撮影: アーヴィング・グラスバーグ
編集: エドワード・カーティス
出演: チャールズ・ロートン ボリス・カーロフ サリー・フォレスト リチャード・ステイプリー アラン・ネイピア モーガン・ファーレイ
★17世紀。ゴシック調の不気味な城に住むシール・デ・マルトロワは、かつて最愛の女性が自分の兄と結婚した事、出産後亡くなった事を20年後の今でも忘れらいないでいる邪悪な狂人だ。マルトロワは兄への復讐のために、20年間に渡って彼を城の地下牢に監禁した。一方、20歳になった姪の相手になり彼女を苦しめるような評判の悪い若者を捜していた。ある日、それに打ってつけのデニスが現れるが、事態は予期せぬ方向へと流れ始める。あらゆるジャンルの作品に登場した名優ロートンの狂気の演技が全編を圧倒するゴシック・ホラー。
入場料:1100円均一(当日券のみ)
※2本連続鑑賞2100円 3本連続鑑賞3100円
欧米クラシック・シリーズ⑳
SF/ホラー特集
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