欧米クラシック・シリーズ第71弾は、イギリス、ドイツ、北欧、スイス、メキシコなど、アートシーン以外ではなかなかお目にかかれない国々の作品をお届けします。
スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマン、メキシコの大監督ルイス・ブニュエルの初期作品を始め、『ワイルドバンチ』のマパッチ将軍など個性派俳優としてもお馴染みのエミリオ・フェルナンデスの監督作品など、レアものばかり16本セレクト。
年の瀬を見応えある映画で締めくくりたい向きには最適のプログラムと言えます。
例によって複数本割もございますので、ぜひご利用下さい!!
上映期間 12月12日(月)~23日(金)
上映作品(全作品アメリカ映画・DVD上映)
『灰色の男』The Man in Grey(1943/英/モノクロ/112分)
監督:レスリー・アーリス
原作:エリノア・スミス
脚本:マーガレット・ケネディ レスリー・アーリス ドーリン・モンゴメリー
音楽:ルイス・レヴィ
出演:マーガレット・ロックウッド ジェームズ・メイソン フィリス・カルヴァート スチュワート・グレンジャー
★エリナー・スミスの小説の映画化作品。灰色の男とあだ名された社交界の嫌われ者で変質者の侯爵と彼の妻、彼女を殺して後釜に座ろうとする悪女と芝居仲間。この4人がからむニューロティック・シネマ流行のさきがけとなった映画。サディスティックな侯爵に扮したJ.メイスンの演技が、公開当時大いに話題になった。
上映日:12/12(月)&19(月)12時50分~
『女狐』Gone to Earth(1950/英/カラー/106分)
監督・製作・脚本:マイケル・パウエル エメリック・プレスバーガー
製作総指揮:デヴィッド・O・セルズニック アレクサンダー・コルダ
原作:メアリー・ウェッブ
撮影:クリストファー・チャリス
音楽:ブライアン・イースデイル
出演:ジェニファー・ジョーンズ デヴィッド・ファーラー シリル・キューザック シビル・ソーンダイク
★ジプシーの母親を亡くしたヘイゼルは、棺桶を作り、竪琴師でもある父親と女狐と共に人里離れた山腹に住んでいた。彼女は母親の呪文書に従って、最初に求婚してくれた新任の牧師と結婚する。しかし、毎日の生活に物足らなくなり、郷土の名士、レディンの愛を受け入れてしまうのだった。
上映日:12/12(月)&19(月)15時~
『愛なき女』Una Mujer Sin Amor(1951/墨/モノクロ/91分)
監督:ルイス・ブニュエル
原作:ギイ・ド・モーパッサン
脚本:ハイメ・サルヴァドール
撮影:ラウル・マルチネス・ソラレス
音楽:ラウル・ラヴィスタ
出演:ロザリオ・グラナドス フリオ・ビラレアル ティト・フンコ ホキアン・コルデロ ハイメ・カルペ
★モーパッサンの「ピエールとジャン」が原作。愛なき結婚生活に耐えていた古美術商を営む夫婦に、ある日莫大な遺産が転がり込む。かつてかつて妻のロサリオと恋に落ちたフリオが、2人の間にできた不義の子である次男に遺したのである。父親の異なる兄弟のいがみ合いと、母親の葛藤という通俗的なテーマの中に、随所にブニュエルらしさも感じさせてくれる佳作。
上映日:12/12(月)&19(月)17時~
『真珠』La Perla(1947/墨/モノクロ/86分)
監督:エミリオ・フェルナンデス
原作:ジョン・スタインベック
撮影:ガブリエル・フィゲロア
出演:ペドロ・アルメンダリス マリア・エレナ・マルクェス アルフォンソ・ベドヤ
★メキシコの寒村で、貧しい漁師が貴重な真珠を手に入れたことから様々な不運な出来事が起こる。それらを当時の社会を背景に、教訓的に描いた作品。スタインベックの原作の映画化作品。47年のヴェネチア国際映画祭で編集賞、独創的な映画賞を受賞したほか、翌年のゴールデン・グローブ賞を受賞した。
上映日:12/12(月)&19(月)18時45分~
『四重奏』Quarte(1949/英/モノクロ/115分)
監督:ラルフ・スマート ハロルド・フレンチ アーサー・クラブトゥリー ケン・アナキン
原作:サマセット・モーム
脚本:R・C・シェリフ アーサー・クラブトゥリー ラルフ・スマート ハロルド・フレンチ
撮影:レイ・エルトン
出演:ジャック・ワトリング マイ・ゼッタリング ダーク・ボガード フランソワーズ・ロゼー ジョージ・コール スーザン・ショウ セシル・パーカー ノーラ・スウィンバーン オナー・ブラックマン コーラル・ブラウン
★第一話「人生の実相」- テニスの試合で海外遠征をする息子に父親が3つの注意事項を言い渡す。第二話「変わり種」- ピアニストを夢見る男が銃の暴発で死んでしまう。第三話「凧」 - 凧揚げがやめられないために別居した夫婦の数奇な運命。第四話「大佐の奥方」- 趣味のない現役大佐の奥さんが 出版した詩集がベストセラーになる。
上映日:12/14(水)&21(水)12時50分~
『歓喜に向かって』Till Gradje(1950/典/モノクロ/98分)
監督・脚本:イングマール・ベルイマン
撮影:グンナール・フィッシェル
出演:マイ・ブリット・ニルソン スティーグ・オリーン ヴィクトル・シェストレム ビルイェル・マルムステーン
★練習中に妻の死を知らされたバイオリニストが、7年前の2人の生活をを回想する シーンが導入部となり、夫婦の愛と苦悩、音楽により精神的に救済される姿を、ベー トーヴェンの“歓喜の歌”をモチーフに感動的に描いている。スウェーデン映画の父 と呼ばれるシェーストレムが楽団の指揮者として好演しているのも見どころか。
上映日:12/14(水)&21(水)15時~
『道化師の夜』Gycklarnas Afton(1953/典/モノクロ/92分)
監督・脚本:イングマール・ベルイマン
撮影:スヴェン・ニクヴィスト ヒルディング・ブラド
音楽:カール=ニビルイェル・ブロムダール
出演:オーケ・グレンベルイ ハリエット・アンデルセン アンデルス・エク ギュールドン・ブロスト グンナール・ビョルンストランド
★巡業サーカス一座の団長アルベルトは妻子を棄てて恋人アンと各地を巡業していた。音声を消した印象的な導入部 に続き、サーカス一座の悲哀に満ちたドラマが展開される。ベルイマンの人間の感情を正面から見据えた辛辣な演出に加えて、美しい風景描写や陰影にとんだカメラワークが見事だ。
上映日:12/14(水)&21(水)17時~
『乱暴者』El Bruto(1952/墨/モノクロ/83分)
監督:ルイス・ブニュエル
製作:セルヒオ・コーガン
脚本:ルイス・ブニュエル ルイス・アルコリサ
撮影:アグスティン・ヒメネス
音楽:ラウル・ラヴィスタ
出演:ペドロ・アルメンダリス ケティ・フラド ロシータ・アレナス アンドレス・カプレラ
★屠殺場で働く男が家主に雇われて、立ち退きに抵抗する小作人のリーダーを殺してしまうが、家主の妻の裏切りにより自らも非業の最期を遂げる。ブルジョワジーと労働者、父を殺されたことを知らぬまま男を頼るけな気な乙女と、男を誘惑する家主の妻、男のやさしさと凶暴性等を対比させて緊張感を高め、観るものをあきさせないドラマに仕上がっている。
上映日:12/14(水)&21(水)18時45分~
『ジープの四人』Four in a Jeep(1951/瑞/モノクロ/98分)
監督:レオポルド・リントベルグ エリザベス・モンタギュ
製作:ラザール・ヴェヒスラー
脚本:リチャード・シュヴァイザー
撮影:エミール・ベルナ
音楽:ロバート・ブルム
出演:ヴィヴェカ・リンドフォース ラルフ・ミーカー ジョセフ・ヨーディン マイケル・メドウィン ポーレット・デュボスト グリゴリ・クマーラ
★第二次大戦後のウィーンは連合に占領されて不穏な空気に満ち溢れていた。ジープで街を巡回していた4人の兵士が脱走兵の妻を保護するのだが、夫が死んだと思い込み自殺を図った彼女を巡って兵士たちが対立する。国境を越えた人間愛を描いたドキュメンタリー・タッチの反戦映画で、ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した。
上映日:12/15(木)&22(木)13時10分~
『絶壁の彼方に』State Secret(1950/英/モノクロ/99分)
監督:シドニー・ギリアット
製作・脚本:シドニー・ギリアット フランク・ローンダー
撮影:ロバート・クラスカー
音楽:ウィリアム・オルウィン
出演:ダグラス・フェアバンクス・Jr ウォルター・リラ ジャック・ホーキンス グリニス・ジョンズ ハーバート・ロム
★アメリカの外科医が”ボスニア国”から、その功績に対して表彰をしたいと招待される。しかし、実際は独裁者の手術であり術後に本人は死んでしまう。彼は逃げ出すのだが、次々に困難が待ち構えているというサスペンス映画の秀作。劇中で頻繁に使われる仮想の国ボスニアの言葉、綿密に作られた小道具の労作が興味深い。
上映日:12/15(木)&22(木)15時~
『令嬢ジュリー』Froken Julie(1951/典/モノクロ/90分)
監督・脚本:アルフ・シェーベルイ
原作:アウグスト・ストリンドベリ
出演:アニタ・ビョルク ウルフ・パルメ アンデル・ヘンリクソン マックス・フォン・シドー
★ストリンドベルイの有名な戯曲の映画化。伯爵の家のひとり娘ジュリーは夏至祭の夜、狂熱的な雰囲気の中で下男のヤンに身を任せる。一夜明けて自らの誇りを取り戻すためにジュリーは自殺してしまうのだった。いわゆる二重露出の技巧が効果的に使われた名作で、カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した。
上映日:12/15(木)&22(木)17時~
『メリー』Mary(1931/独/モノクロ/79分)
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:アルフレート・アーベル オルガ・チェホーワ
★クレメンス・デーンとヘレン・シンプソンの戯曲「サー・ジョン登場」の映画化作品でヒッチコック唯一のドイツ語によるトーキー作品。劇団の花形女優が殺害されたことで逮捕された若き女優が無実の罪を晴らすまでを描いている。30年の「殺人!」をなぞったスリラー映画の佳作。
上映日:12/15(木)&22(木)18時45分~
『不良少女モニカ』 Sommaren med Monika(1952/典/モノクロ/92分)
監督・脚本:イングマール・ベルイマン
原作:ペール=アンデシュ・フーゲルストルム
撮影:グンナール・フィッシェル
音楽:エリック・ノードグレーン
出演:ラーシュ・エクボルイ ハリエット・アンデルセン オーケ・グリュンベルイ ベンクト・エクルンド
★孤独な青年ハリーは、奔放な少女モニカと知り合い、やがて子供が生まれて結婚する。しかし退屈な貧乏暮らしに飽きたモニカは彼のもとを去っていく。ハリーは残された子供をひとりで育てていく決心をするのだった。主役の女優の新鮮なエロティシズムが公開当時話題になった。
上映日:12/16(金)&23(金)13時10分~
『春の悶え』Hon Dansade en Sommar(1951/典/モノクロ/103分)
監督:アルネ・マットソン
製作:レナート・ランドハイム
脚本:オーレ・ヘルボム アルネ・マットソン ヴォロージャ・セミチョフ
撮影:イョーラン・ストリンドベルイ
音楽:スヴェン・シェルド
出演:フォルケ・スンドクヴィスト ウーラ・ヤコブソン
★夏休みに伯父の農場に遊びに来た青年が、隣家の娘に恋をする。村人の偏見を乗り越えて愛し合うようになった2人だが、その先には思いがけぬ悲劇が待ち受けているのだった。ベルリン国際映画祭で金熊賞、カンヌ国際映画祭で音楽賞を受賞した。
上映日:12/16(金)&23(金)15時~
『炭坑』Kameradschaf(1931/独/モノクロ/86分)
監督:ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト
製作:シーモア・ネベンザル
脚本:カール・オッテン ペーター・マルティン・ランペル ラディスラウス・ヴァホダ
撮影:フリッツ・アルノ・ヴァグナー ロベルト・バベルスケ
出演:フリッツ・カンパース アレクサンダー・グラナック エルンスト・ブッシュ グスタフ・ピッティアアンドレ・デュクレ ダニエル・マンダイユ ジョルジュ・シャルリア ピエール・ルイ アレックス・ベルナール
★1906年にフランスの北部で実際に起こった炭坑事故を下敷きにした作品。 第一次大戦後、ドイツとの国境に近いフランスの炭坑で大爆発が起こり、坑道に数百人が取り残された。この惨事に隣国のドイツから同じ労働者の仲間が救援に駆けつけ、献身的な救援活動が繰り広げられるのだった。両国の緊迫した国民感情と、労働者の連帯意識が巧みに描かれ、やがて勃発する二次世界大戦への警鐘を鳴らしているとも言える。
上映日:12/16(金)&23(金)17時~
『忘れられた人々』Los Olividados(1950/墨/モノクロ/77分)
監督:ルイス・ブニュエル
製作:オスカル・ダンシヘルス
脚本:ルイス・ブニュエル ルイス・アルコリサ
撮影:ガブリエル・フィゲロア
音楽:ロドルフォ・ハルフター
出演:ロベルト・コボ エステラ・インダ アルフォンソ・メヒア
★感化院を脱走してスラム街に戻った少年が、盲目の大道芸人を襲撃したのを手始めに、仲間を連ねて悪行の限りをつくし、やがては破滅していく。冒頭で、非行はあまねく大都市が抱えている社会問題だという説明があるにも拘らず、非行少年の更生を社会に訴えるのではなく、突き放して描いている点が興味深い。カンヌ国際映画賞監督賞を受賞した。
上映日:12/16(金)&23(金)18時45分~
入場料:1300円均一(当日券のみ)
※2本連続鑑賞2400円 3本連続鑑賞3500円 4本連続鑑賞4500円
欧米クラシック・シリーズ71
欧墨名作特集
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