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社会派の巨匠・熊井啓傑作選
3/14〜4/10
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社会派の巨匠・熊井啓傑作選
「帝銀事件 死刑囚」でデビューして以来、山本薩夫監督と共に日本を代表する社会派エンターテインメントの巨匠として、その名を映画史に刻み込んだ監督・熊井啓。
常に時代と、そこに生きた人間を見つめ続けた骨太な作風は、今の日本映画が失って久しいものです。
日本国内のみならずベルリン、ヴェネチアなど海外の映画祭でも高い評価を得た熊井作品ですが、今回は多岐にわたる熊井作品の中から特に監督の十八番とも言える実録モノの代表作を4本セレクト、各作品の関係者の皆様をお招きして、熊井作品の魅力の根源に迫ります。

熊井 啓(クマイ ケイ)
映画監督・脚本家
(1930年 長野県出身 2007年没)
映画作品
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帝銀事件 死刑囚(1964年)
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日本列島(1965年)
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黒部の太陽(1968年)
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地の群れ(1970年)
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忍ぶ川(1972年)
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天平の甍(1980年)
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日本の熱い日々謀殺・下山事件(1981年)
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海と毒薬(1986年)
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千利休 本覺坊遺文(1989年)
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式部物語(1990年)
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日本の黒い夏─冤罪(2001年)など
傑作選上映スケジュール(2015年2月21日〜3月13日)






帝銀事件 死刑囚
1964年作品(モノクローム)
上映時間108分
監督:熊井啓
脚本:熊井啓
出演:信欣三
内藤武敏
柳川慶子
鈴木瑞穂
★ストーリー
昭和23年、東京都豊島区の帝国銀行椎名町支店に、東京都衛生課員を名乗る男が現れる「近くで赤痢が発生した」と行員16人に予防薬と称して青酸化合物を飲ませ、現金と証券を奪って逃走。新聞記者・武井は、青酸化合物が七三一部隊により作られたことを突き止めるが、GHQから追求をやめるよう要請される。一方、警察は画家の平沢貞通を逮捕するが…。
★解説
熊井啓監督の記念すべきデビュー作。
日活入社から10年、綿密な調査を重ね満を持して発表した力作。日本シナリオ作家協会シナリオ賞、映画評論ベストテン第5位、映画サークル勤労者協議会ミリオンパール賞など受賞。ミステリ要素の強い事件を独自の解釈で描きその後の映画作家としての方向性を決定づけた。トークショーでは俊子役で出演された柳川慶子さんをお招きし、初日活作品出演の印象、熊井啓監督との思い出などをお伺いします。

日本の熱い日々
謀殺・下山事件
1981年作品(モノクローム)
上映時間115分
監督:熊井啓
脚本:菊島隆三
録音:紅谷 愃一
出演:仲代達矢
山本圭
隆大介 井川比佐志
★ストーリー
昭和24年7月6日午前0時25分頃、東京都足立区にある常磐線が東武伊勢崎線と交差するガード下で、国鉄の下山総裁の轢断された死体が発見された。即日、「下山事件特別捜査本部」が設置されるが、警視庁捜査一課では自殺説、捜査二課および東京地検の特捜部では他殺説に傾いていくことになる…。
★解説
戦後最大のミステリとされるいわゆる「下山事件」を、完璧な時代考証と、熊井監督ならではの大胆な解釈で描いたミステリサスペンスの傑作。
今から思えばオリバー・ストーンの「JFK」(1991)も本作のイミテーションのような作品に見える。
21日(土)の上映後には、録音を担当した録音技師の大ベテラン紅谷 愃一さんをお招きし、撮影当時のご苦労や、熊井監督との思い出などを語っていただきます。

海と毒薬
1986年作品(モノクローム)
上映時間122分
監督:熊井啓
脚本:熊井啓
監督補:原一男
出演:奥田瑛二
渡辺謙
田村高廣
★ストーリー
終戦間際の昭和20年5月。九州の医学部研究生、勝呂と戸田の二人は物資も薬品も揃わぬ状況下で悶々としていたが、ある日、二人は教授たちの許に呼び出された。それは、B29の捕虜8名を使った生体解剖実験を手伝えというものだった…。
★解説
太平洋戦争末期に実際に起こった米軍捕虜に対する生体解剖事件を描いた遠藤周作の同名小説を監督自ら脚色。ベルリン国際映画祭銀熊賞・審査員特別賞、毎日映画コンクール大賞、3度目のキネマ旬報ベストワン及び監督賞を受賞するなど、国内外で激賞された傑作である。
特に、モノクロトーンの中で展開される臨場感あふれるな手術シーンは、リアルにこだわる熊井演出の真骨頂ともいえる迫力で、観る者を圧倒する。
トークショーでは数々の熊井作品で監督補を務めた原一男監督をお招きし、熊井監督とのコンビ作の中でもひときわ思い出深いとおっしゃる本作の製作秘話や、熊井監督との交友などについてたっぷりとお話を伺います。

★ストーリー
1994年6月27日、長野県松本市で何者かによって毒ガスがまかれ、多数の死傷者を出す大惨事が発生した。事件の第一通報者で被害者でもある神部俊夫はいわれのない殺人容疑で家宅捜査をうけ、マスコミによって犯人に仕立て上げられてしまうのだが…。
★解説
熊井啓監督が冤罪事件として世間を震撼させた「松本サリン事件」に題材に求めた最後の実録路線作品。
名もなき市井の人が体制の前に押し潰されていく不条理を、熊井監督らしいリアリティに基づいたタッチで描いた佳作である。
特集最後のトークショーでは、脚本家として熊井監督とお仕事されたこともある、ポプリ研究の第一人者でエッセイストの故熊井啓夫人・熊井明子さんをお招きし、映画監督熊井啓、人間熊井啓の実像についてお話を伺います。
日本の黒い夏[冤罪]
2000年作品(フルカラー)
上映時間119分
監督:熊井啓
脚本:熊井啓
出演:中井貴一
細川直美
遠野凪子
北村有起哉


